Y染色体アダム

子が親から受け継ぐ遺伝子は、半分は母親由来で半分は父親由来のものです。

第15染色体にある胚の発生に関するものは、父親から受け継いだ遺伝子が胎盤を作り、母親から受け継いだ遺伝子が胚の大部分を作ります。

哺乳類の胎盤は、胎児に栄養を与える為に作られた母体側の器官では無く、母体の血管に寄生しながら拒絶反応を起こさせない為に作られた父親由来の胎児の器官なのです。

さて男性固有のY染色体はもちろん父親由来で、3万5千もの塩基対がありますが、遺伝子の数はX染色体が407個あるのに対し性決定遺伝子など僅か26個と少ないのです。

遺伝子以外の塩基はヘテロクロマチンと呼ばれるほとんど意味をなさない単純な繰り返し構造となっています。

理化学研究所ゲノム科学総合研究センターの藤山博士は、Y染色体にあるヘテロクロマチンの長さは個人によって異なるといい、受精の時に常染色体は対になって組み換えを起こすがY染色体は相手がいないので組み換えの為の切り出しが行われず、親の形質をそのまま受け継ぐのだといいます。

この事は「必ず父親から受け継ぐ」「組み換えがあまり起こらない」といったY染色体だけの特微なので、これを利用して人類進化の道筋をたどろうという試みが行われました。

細胞形質にあるミトコンドリアのDNAは母親由来という事から、人類最初の女性「ミトコンドリア・イブ」を探そうという研究のように、Y染色体の最初の持ち主「Y染色体アダム」を探しアフリカのアダムにたどり着いたのです。

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