高齢者の痛みの表し方

痛みと言うのはなかなか他人には伝わり難い物ですが、特に高齢者からの痛みの訴えは時として理解し難い場合があります。

一口に痛みと言っても、持続時間、繰り返し、強さや広さ等色々な表現が考えられます。

痛みの表現は、繰り返しの表現としてはチクチク、ズキズキなどがあり、深さや広さでは「針で突く様な」とか「締めつける様な」等の言い方をする事が出来ます。

大きく分ければズキズキ等の擬音的な言葉と「針で突く様な」と言う抽象的で象徴的な表現に分ける事が出来ます。

老化すると知力も低下し抽象的な表現も損なわれると考える為、高齢者に対しては抽象的、象徴的な言葉を避けて、優しい表現で接し様とします。

そこでチクチクやズキズキ等の擬音・擬態語を使いがちになる訳です。ところが高齢者と中年層に対する痛みに関する語彙の調査によると、高齢者の場合では前者の擬音的な表現の境が曖昧になり、抽象的な表現に差は無いという結果が得られたのです。

これは高齢者は身体機能が衰えて来る為、それに従って身体性とより強力に結び付いた擬音・擬態語も変化するのだと考えられるのです。

-方で疼痛や圧迫痛を表しやすい、「針で突く様な」とか「キリで揉み込まれる様な」等の象徴性の高い語彙は身体との直接的な繋がりが薄い分、理解力がより残りやすいと言えるのです。

高齢者だから分かりやすい言葉を選ぶつもりで擬音語などを多様すると、かえってコミュニケーションが取り難くなりかねません。

鶴巻温泉治療院