聴力低下の危険因子

聴力は高齢者の日常生活動作(ADL)に深く関連する老化の指標ですが、実際に老化と共にどの様に変化し、どの様な因子の影響を受け易いのかはよく分かっていませんでした。

愛知県の国立長寿医療研究センターが6万6千人の人間ドック受診者を対象に、8年間に渡る追跡調査を行った結果、20代では変化が無いのに30代になると男女共に年齢に比例して聴力が低下するのが認められました。

男女差が出たのは4000ヘルツの高音レベルで、男性は60歳で聴力損失が30デシベルという軽度難聴(両耳を指で塞いだ位)に達し、70~80歳で50デシベルの高度難聴(ほとんど聞こえ無い)に達しました。

しかし女性は70~80歳でも高音域の聴力が余り落ちず、軽度難聴に留まりました。

加齢に加えて聴力に影響を与える危険因子を見つける為、血圧や肥満度、喫煙や飲酒の習慣、赤血球数等との関係についても調べた結果、特に女性で喫煙と聴力低下の関係が著しい事が明らかになりました。

平均して40歳代で毎日20本以上吸う人は、吸わない人に比べて約6年聴力の老化が進んでいると言います。

喫煙男性にも女性程では無いが聴力低下が見られ、また喫煙者と同居している非喫煙者も難聴になり易い事も分かったのです。

他には肥満やコレステロール等生活習慣病となる因子の悪化も聴力低下に関係していました。喫煙が最も聴力に影響を与えるのは、聴覚器官への血行が妨げられるのが原因だろうと考えられています。

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