アポトーシスの失敗

プログラムされた死“アポトーシス”は個体の発生や恒常性の為に重要な働きをしています。おたまじゃくしの尻尾が無くなるのも、人の指がきちんと5本に分かれるのも発生の過程で役目を終えた細胞が“自殺”するからです。

最近ではこのアポトーシスの研究が進むに連れて、アポトーシスが免疫系においても重要な働きをしている事が分かってきました。

これまで、自己免疫疾患は自己に反応するリンパ球が異常に増える為だと考えられてきたのですが、実は、本来自殺するべき自己反応性のリンパ球が死なずに残ってしまうために起こるという事が分かってきたのです。

例えば胸腺ではT細胞の教育が行われて自己に反応するT細胞は排除されるとされていますが、その場合の排除もいらないT細胞にアポトーシスが起こっているのです。

哺乳類の細胞の表面にはアポトーシスを起こさせるシグナルを受け取るFasというアンテナがあって、ここが刺激されるとアポトーシスのスイッチが入って自殺していきます。

動物実験では免疫細胞のアポトーシスを制御する遺伝子が異常になる為に自己免疫疾患を起こす事が分かっていますが、人ではまだ確認されていません。

アポトーシスは起こり過ぎても起こら無さ過ぎても困ります。

アポトーシスが起こり過ぎるとエイズやアルツハイマー、パーキンソン病等の神経変性疾患や筋萎縮性側索硬化症を発症しますし、アポトーシスが起こら無くなるとガンや自己免疫疾患、ヘルぺス等のウイルス感染症等が発症してしまう事になります。

アポトーシスを制御できる様になれば、難病と言われる多くの疾患の改善可能になると考えられます。