過敏性腸症候群

下痢や便意等が頻繁に起こるために、外出するのが恐くなったり、行く先々のトイレを確認しないと落ちつけない等、過敏性腸症候群(I B S:irritable bowel syndrome)に悩んでいる人が増えています。

このIBSは器質的な疾患ではなく、大腸を中心にした機能異常で便通異常、腹部不快感、腹痛等が起こり、更に不安感や抑うつ感などの精神症状を伴う場合もあります。

疫学的な調査で一般の健常者の中でも14~22%はこのIBSの症状をもっていると言われ、消化器疾患の中でも最も高い頻度の疾患なのです。

この症状を持っている中で約20%の人が受診するそうです。男性より女性の方が1.5倍多く、若い時期に多く半数以上は35歳以前に発病します。

便通異常でみると男性は下痢型、女性は便秘型が多い事が分かっています。IBSの特徴として、刺激に対して知覚が過敏で、腸管も過敏な反応をする事が明らかになっています。

ですから一寸した刺激で疼痛や排便を促されてしまったり、腸管の拡張や伸展でも、知覚して脳に伝えられ腹痛を引き起こし、神経反射を介して消化管運動の過剰反応を誘導してしまうのです。

また、症状は下腹部にとどまらず、頭痛、月経異常、倦怠感、頻尿等も引き起こす事から、単に腸管平滑筋の機能異常と考えるより、全身の平滑筋臓器の機能異常として把握する方がこの疾患を理解しやすいという考えもあります。

器質的な疾患がなく吐き気、嘔吐、食欲不振、上腹部痛等の上部消化器の異常が起こる場合をN U D : non-ulcer dyspepsia といいますが、これも平滑筋の機能異常であるのです。

ですから、これらの両方の症状を併せ持つ患者さんも当然いるのです。

そこで、最近になり消化管の機能異常を総称して、irritable gut(過敏な消化器)という概念が提唱されてきたのです。