顔面の筋肉の麻痺

顔面の筋肉には表情筋と咀嚼筋があり、表情筋は骨から起始して皮膚に停止する皮筋で顔面神経がその運動を支配しています。

咀嚼筋は頭蓋骨と下顎骨をつなぐ骨格筋で三叉神経が支配しています。クーラーなどの冷たい風に当たったまま眠ったり、風邪を引いたりこめかみ等に外傷を受けたりすると顔面神経が障害を受けて麻痺を起こす事があります。

また顔面神経が頭蓋から出てくる辺りで、化膿性中耳炎や耳下腺腫等の炎症が及んだり、圧迫を受けたりしても麻痺が起こりますが、末梢神経麻痺としては最も多く見られるものです。

多くは片側に現れ、患側の顔面筋が弛緩して無表情になり、額や眉間にしわを寄せる事ができなくなります。

眼裂は異様に広く開き、特に下眼瞼は重さの為に下垂して目を閉じる事ができなくなって「兎眼」と呼ばれる状態になります。

意識してまぶたを閉じようとすると眼球が上内方に移動して、白眼をむいてしまい、これを「ベル徴候」といいます。

鼻の光は健側に引かれて歪み、鼻唇溝も薄くなり、口角が下がって発音が不明瞭になります。

口笛を吹いたり唾を吐いたり頬を膨らませるといった事もできなくなります。

これらの症状は脳卒中の後遺症など中枢性の麻痺にもみられますが、違う点は中枢性は顔面の上半分が侵される事が無くて額にしわを寄せる事ができ、顔面の他にも片麻痺がある事で末梢性と区別できます。

鶴巻温泉治療院