髄液が睡眠を調節する

脳脊髄液(髄液)は脳や脊髄を外力から守り、脳の栄養吸収や代謝産物の排泄路としての働きをします。

最近の研究で、髄液の主成分であるベータトレースという酵素が、クモ膜や軟膜に働きかけ、睡眠物質であるプロスタグランジンD2を髄液に放出し、そのD2が前脳基底部に作用して睡眠を調節している事が分かって来ました。

今まで睡眠調節をするのは視床下部や脳幹だと考えられていましたが、脳の外側にある膜や髄液も関連している事が分かって来たのです。

この髄液は大脳の側脳室という空洞に脈絡叢という血管の塊がありここで作られます。

この髄液は-定の方向に流れ、第三脳室、中脳水道、第四脳室、マジヤンデイー孔、ルシュカ孔を通ってクモ膜と軟膜の間のクモ膜下腔に出て脊髄と脳に分かれ、その後、頭頂にあるクモ膜穎粒から矢状静脈洞に達して吸収されます。これを髄液循環と言います。

一日に作られる髄液は約500ccですが実際に流れている量は約150ccですから、髄液は一日に3~4回ほど交換されている事になります。

ところで40~50代で多いクモ膜下出血の検査はCTスキヤンで大部分は分かりますが、出血の少ない場合は腰椎穿刺の髄液検査をして、出血があれば髄液は薄いピンク色になっています。

ちなみに脊髄は腰椎-番までですから、その下を穿刺すれぱ中枢神経に刺さる事はありません。

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