筋肉が脳を作る

指先を使う人は長生きだとか、体を良く動かす人はボケ無い等といいます。

実際指を動かす時には脳の運動野の広い領域が働いている事が分かっていますし、体を動かす為には筋肉の微妙な動きを調節する必要がある為に脳を総動員して働かせています。

つまり筋肉を動かす為に脳は働かなければならず、それが脳自身の刺激になっていると考えられるのです。

筋肉はそれ自体が感覚器でもあり、自分の筋肉がどの様に動いているのかは目を閉じていても分かるだけでなく、筋肉で生じた疲労物質などの代謝物質などの情報を脳に送る働きもしています。

しかし、最近の脳科学の進展によって神経が筋肉を制御しているだけでも、感覚器として情報を脳に送っているだけでなく、筋肉の動きそのものが脳を刺激、制御しているという事が分かってきたのです。

運動をすると大脳運動野が活性化されますが、同時に視床下部も活性化して成長ホルモンや副腎皮質ホルモン等を分泌させます。

その時、大脳からの運動指令とは関係無しに、筋肉の運動そのものがその部分を刺激するらしいのです。

最近では神経細胞も増殖したり成長したりしているという事が分かってきましたが、それを担っているのが神経栄養因子で、いくつもの物質が見つかっています。

筋肉の動きによって分泌されたホルモンは神経細胞の核に届いて神経栄養因子を作らせる遺伝子に働き、それで増えた神経栄養因子によって脳は神経細胞やシナプスを増やすのだと考えられます。

マウスの実験でも運動によって海馬の神経細胞が増える事が確認されています。

ひどい「うつ」は脳の海馬の部分の萎縮を伴っている事が分かっていますが、うつの治療に運動が効果的であるのも、筋肉の動きが海馬の神経細胞を増やすからだといえるでしょう。

筋肉は脳からの指令を受けるだけでなく、脳を作っているといってもよいでしょう。

鶴巻温泉治療院