貝原益軒の「養生訓」

日本では江戸時代中期から後期にかけて養生に関する本が沢山出版されています。

病気の予防や改善、栄養、育児等に関する知識を一般に向けて優しく説いた物が多く、日本人は古くから養生本が好きな様です。

その多くの養生書の中でもその大元にあると考えられる本が貝原益軒の「養生訓」で、杉田玄白を始め、多くの医師や学者に影響を与えています。

現代では'01年の始めにNHKの人間講座で取り上げられて再評価されています。

いわば現代につながる東洋的養生の考でしょう。貝原益軒は儒者であり医者であり、薬学者でもありました。

本人自身は病弱な体質だったようですが、人生も80代になってから「養生訓」を始め旺盛な仕事を残しています。

つまり自らの身体で実証した経験則が養生訓でもあるのです。

益軒は幸福は人生の後半にあるのだから養生に勤めて老いを楽しまなければならないといいます。

この養生訓は8巻からなり、朝起きての身繕いの仕方から寝る姿勢まで実に細かく養生法を語っていますが、「べからず」ばっかりの禁欲的な堅苦しさだけの教えではありません。

あくまでも人生を楽しむ為の養生なのです。

益軒は人間の根本は「気」であり、その気の滞りが病気を呼び、元気を減らすと考えているのですが、この考え方はヒポグラテスにも通じるものがあります。

養生訓全体に渡って最も強調されているのが、「身を動かし、気を巡らす」という事です。

「心は楽しむべし、苦しむべからず。身は労すべし、やすめ過すべからず」とする教えは決して古くはない、現代にも通用する養生法だといえるでしょう。

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