高齢者のコレステロール

総コレステロールの値は男性で45歳以降、女性では更年期以降、年齢が上がるにしたがって高くなっていきます。

ピークは60歳代で、以後70歳代、80歳代と高齢になるに連れて減少していきます。

70歳以上になるとコレステロールの吸収や合成が低下する事が原因と考えられます。

一般に高脂血症は様々な生活習慣病の危険因子で、確かに75歳位までの高コレステロールは虚血性心疾患の危険因子である事は確かです。

しかし80歳以降の高コレステロールが心疾患の危険因子である事は疑問視されています。

もちろん高血圧や糖尿病の疾患があったり、かつて虐血性心疾患になっている人は薬物などによって速やかにコレステロール値を下げなければなりませんが、その既往症のない80歳以上の人にとって薬物的な療法は必ずしも必要とはされないのです。

しかも、高コレステロールだと、心疾患は確かに増加しますが、かえってコレステロールが低いと脳卒中や癌、肺炎などの感染症に罹り易くなってしまうのです。

疫学調査ではコレステロール値200前後と言う数値が一番長命だという結果が出ており、東京都老人研の小金井市の疫学調査でも低い人は高い人よりも寿命が短いという結果が出ているのです。

心疾患の徴候が無く、脳卒中や癌等を患った家族が居たり、現に脳卒中の心配がある人のコレステロール値はある程度高めでもよいのです。

健康な後期高齢者の場合、コレステロール値260位までは薬等を使って無理に下げる必要は無いと考えられます。

鶴巻温泉治療院