高齢者の貧血

高齢者の貧血は結構多い物ですが、老化と言う事だけで片づけられません。

確かに高齢者では赤血球系の幹細胞が減少しますが、だからと言って造血刺激に反応する力や血球の寿命までが劣って来る訳ではありません。

つまり血液を作る予備能が弱いとは言えますが、本来血液中の細胞数までが大きく減ると言う事は無いのです。

高齢者は何らかの病気を抱えているものですが、厳密に基礎疾患(複数の事も多い)の影響を除いて考えると高齢者だから貧血になると言う事は必ずしも言えないのです。

つまり、高齢者が貧血だという場合、老化と片づけないで別の疾患を考えなければなりません。

鉄欠乏性の貧血と言われるものも食事の偏りが原因というよりは、消化管の潰瘍や腫瘍よる出血である事が多く、高齢者に多い逆流性食道炎による出血も多いものです。

その他に癌や感染症、腎疾患、膠原病等も貧血の原因になっている事が多いのです。

特に高齢者の貧血では胃癌と大腸癌は疑うべきです。従ってこうした2次疾患としての貧血は基礎となっている疾患が改善すれば改善する筈です。

一般に高齢者では貧血の特徴である顔面蒼白、疲労感、動悸、息切れ等の典型的な症状が出にくいので見逃されたり、軽視される傾向があります。

しかし時として鬱状態やせん妄をひき起こしたり、動脈硬化や呼吸器疾患等を合わせ持っていると、心不全等になって重症になる事もあるので注意が必要です。

鶴巻温泉治療院