疲労と疲労感

疲労とは、脳や筋肉などを使って起こる身体や精神的なパフォーマンスの一時的な低下減少であり、疲労感とは、これ以上の酷使が組織や細胞に障害をきたすおそれがあるという身体からのシグナルだといえます。

例えば楽しみながらするゲームではあまり疲労感を感じる事はありませんが、つまらない仕事をいやいやながらの作業は同じ1日でも疲労を感じるという様に、疲労感はやる気や達成感に影響されます。だからといって楽しい作業が疲労させていないかと言えばそうとはいえません。

かえって達成感や意欲が疲労をカバーする事によって過労を招く事があります。

ただ、厄介なのは疲労イコール疲労感ではないことです。

疲労すると脳ではセロトニンとドーパミンが増えます。セロトニンは休息や睡眠を摂らせる為に疲労感を感じさせ、ドーパミンは身体が活力を上げるように働きます。

動物実験でもラットを疲れさせるとドーパミンとセロトニンが上昇します。ところがそのラットを更に重度の過労状態にすると、疲労困蜷のラットは、身体の活力を保たせるドーパミンは当然低下するのに、疲労感を感じさせる為にもっと増えているはずのセロトニンも低下したのです。

活力がなくなっているのに、シグナルとしての疲労感を感じる事ができなくなってしまったのです。

人の場合でもラットの実験のように、過度の疲労は疲労感すら感じなくなっている事が考えられ、達成感のある仕事等ではかえって疲労感なき疲労状態から過労死を生みやすいといえるのです。

疲労は身体のシグナルであり、疲労感だけに注目するのではなく、身体や精神のパフォーマンスが量的にも質的にも低下した生理的状態であると認識して、過労状態を気持ちで判断しない事です。

ところで慢性疲労症候群もうつ病でも疲労感が強い事が特徴ですが、慢性疲労症候群では作業を続ける過程でパフォーマンスが普通より急速に低下するのに対して、うつ病では最初の段階から低下している事が特徴なので、両者を区別する目安にできます。

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