エストロゲン様細胞とセルトリ細胞

XY染色体を持つ児がオスに性分化するのは妊娠第6週頃です。脳下垂体から分泌された性腺刺激ホルモンがメスの生殖器官であるミュラ一 管を退化させるホルモンを分泌、発生中の胎児の精巣からテストステロンを分泌させ始めオス化を促進します。もしこの時期に過度にエストロゲンにさらされるとオス化のプロセスが狂ってきます。妊娠中の女性は  エストロゲン値が非常に高いのですが、母親のエストロゲンは血液中にある蛋白質、性ホルモン結合性グロプリン(SHBG)と結合しているおかげで胎児は守られています。しかし環境中の化学物質が胎盤を通過して子宮内でエストロゲン様に作用したら、これは男児の正常な性発達をかく乱するに違いありません。ところで近年、欧米で若い世代の精巣がんの増加が報告され問題となっています。精巣の中で、精子の前駆体である「精原細胞」を保護し栄養を与えているのがセルトリ細胞ですが、男児が子宮内にいる時から、その生殖系の発達の全過程をコントロールする重要な細胞です。セルトリ細胞は精巣の下降蒔期に合図を送り、外性器の発育や男らしさに関わるテストステロンを分泌する「ライディッヒ細胞」の働きを制御し、身体が思春期に達する前に精原細胞が発達を開始しないように抑制しています。胎先期にセルトリ細胞がダイオキシンやフタル酸エステル等のエストロゲン様物質に触れると、増殖と働きが阻害され、停留睾丸、尿道下裂、将来的な精巣がん、精子減少等の原因と報告されているのです。

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