PTSDとEMDR

PTSDは、「(心的)外傷後ストレス障害」と訳され、地震などの自然災害や大きな事故、レイプや強盗などの犯罪被害、テロや戦闘体験などの出来事に曝された精神的後遺症です。

阪神淡路大震災のような大災害でなくても、家庭内暴力や虐待なども原因になります。

その症状には

①出来事の不快な記憶が繰り返しよみがえる再体験症状
②出来事について考えたり話したり、思い出させる場所や品物を極力避けようとする回避症状
③いらいらして怒りっぼく、眠れなくなり、物事に集中できないなどの覚醒昂進症状

があります。これらの症状が1ヶ月以上続けばPTSDで、1ヶ月以下の場合は急性ストレス障害と診断されています。

PTSDの療法にはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬や抗不安薬による薬物療法や、認知行動療法などさまざまな療法が行われています。

面白い療法にEMDR(眼球運動による鋭感作と再処理法)という、心的外傷場面を思い出させながら眼球運動を行うことで苦しみを与え続ける記憶を普通の記憶と同じように再処理するという療法があります。

1989年にフランシーン・シャピロが考案したものです。

単純な方法にも関わらず、PTSDをはじめ恐怖症、反応性うつ状態、パニック障害など外傷的記憶が関係する病気を、短期間かつ高率で改善できたとする報告があります。

EMDRのメカニズムは大部分がまだ仮説の段階ですが、急速眼球運動が情動に対して非常に大きな影響力を持っていて、不安を制止するという説などが有力です。