筋肉疲労を説明する時に、疲れの物質として代表的なものとして乳酸をとりあげています。
この乳酸は筋肉のエネルギー代謝の過程でブドウ糖を分解する時にピルビン酸になるのですが、昔は、この乳酸からはエネルギーを作る事ができないので、乳酸は筋肉内から血中にながれ、肝臓でブドウ糖に変換され、再度エネルギーとして使用されるというのが一般的でした。また、乳酸が筋肉内に残ると疲労感が伴うとも説明していました。
しかし、乳酸の肝臓での代謝のされ方は、運動時も運動後にもたいして重要ではない事が明らかにされたのです。
確かに乳酸は肝臓でブドウ糖に代えられますが、それはあくまで安静時の時の事で、運動中の肝臓に流れる血液流量はかなり減少するので、糖を作る能力は低下しているのです。
東京大学の八田秀雄氏は、運動中や運動後の乳酸は主に酸化されているという新たな知見を述べています。
それによると運動量が増えると速筋も動員されるのですが、乳酸が作られるのはこの速筋においてです。
心筋や骨格筋の遅筋線維では、乳酸はピルビン酸に戻され、ミトコンドリアに入り酸化されます。
つまり、乳酸は作られたら溜まるだけの単なる老廃物ではなく、遅筋で使用されているというのです。
確かに、糖を乳酸にするだけではエネルギー的に非効率であり、これを肝臓で糖に戻すには余計なエネルギーを消費する事になり、合理的で無駄のないシステムである人体の機能を考えるとおかしなことなのです。
そして乳酸をピルビン酸にする乳酸脱水酵素は心筋や遅筋に多く存在して、ミトコンドリアに接して存在するという報告も出ているのです。
特に心筋では血中乳酸濃度が高くなると必要なエネルギーの多くを乳酸の酸化で得ています。このように乳酸の働きに関して新しいデータが出てきています。
乳酸は単なる疲労物質という説明は変わってきました。
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