遺伝子に突然変異をもたらす危険な物質は沢山ありますが、それ自体は変異原では無いのに癌を誘発してしまう物があります。
アルコールや肝炎ウイルス等がそうです。
細胞増殖する時DNAがコピーされますが、どんな細胞でも100万塩基に1回の割合でエラーが起こり、癌発生の第一歩となる可能性があります。
この確率は決して高い物とは言えないのですが、細胞が増殖する回数が多くなればなる程当然エラーが発生しやすくなります。
アルコールの場合、度の強い酒を多量に飲むと口や喉の細胞が死んでしまいます。
すると回りの細胞は分裂して補うように促され、増殖が活発になります。
その時タバコを吸うとタバコの煙は変異原ですからDNAのコピーはより一層エラーが多くなります。
増殖中のDNAはそうで無いDNAに比べて変異原の攻撃を受けやすいのでエラーの確率はずっと高くなるのです。
お酒を飲みながらタバコを吸うと口腔癌のリスクが30倍にもなるのはこう言う訳なのです。
一方肝炎ウイルスの場合、肝細胞はウイルスによって破壊されていきます。
正常な場合、肝臓の細胞分裂はさほど起こらないのですが、このような状況では強い増殖力を持つ肝臓は新しい肝細胞を作り続けます。
つまりこの肝炎ウイルスによって細胞分裂が盛んになるとそれだけエラーが重なって肝臓癌になってしまうというわけです。
つまり細胞分裂の活発な部位は癌にもなりやすく、それ自体は発癌性がなくても細胞の増殖を促すものは癌化に手を貸すとも言える訳です。
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