うつ病のには、抗うつ薬が主流ですが、投薬以外では精神療法がいくつかあります。
中でもうつ病には「認知療法」が知られています。この認知療法は米国のアーロン・ベックが考えたやり方です。
うつ病は感情障害であり、絶望感や悲哀感が心を満たしています。
そこで、この様な心模様になってしまう考え方を変えれば、憂うつな気分や不安感は和らぐという考えに基づいた精神療法が考えだされたのです。
つまりベックは状況より、それを主観的にどのように認知しているかが、感情に大きく影響を与えることに注目して、うつになった時の認知の片寄りを修正して、感情をコントロールしょうとしたのです。
その中で、うつ病の患者は自己、世界、未来の3つの領域について、極端で独特の悲観的な考え方に支配されていて、これを「否定的認知の三特徴」と呼んでいます。
その独特の歪んだ認知を構成しているいくつかの要素を挙げています。
一つ失敗すると総べて駄目になるという考え「全か無か(二者択一)」。
少しの困難を大災難のように考える「破局的な見方」。
仕事等の一度の失敗が将来に渡って繰り返し起こると考える「過度の一般化」。
何事も否定的な見方で、決して肯定的には見ない「心のフィルター(選択的抽出)」。
良い出来事も悪い出来事にすり替える「マイナス化思考」。
相手に対する勝手な思い込み「心の読み過ぎと先走った否定的な読み」。
他人を大きく、自分を小さく見る「誇大視と過小視のトリック」。
罪悪感や悪人感などの解決不可能な理由にこだわる「情緒的理由付」。
否定的自己像をつくり洛印を押す「誤ったレッテル貼り」。
関係の無い物も自分のせいにする「自己関連付」。
うつ病患者はこれらの認知の歪んだ「スキーマ(物の見方の鋳型)」によって規定されていると考えたのです。
これらの認知の歪みを指摘するのでのは無く、患者自身が気付いて、自分で答えを見つけられる様にしていくのです。
ただし、自殺念慮の強い場合のうつ病と双極性のうつ病では、危険なので適応ではありません。
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