地球温暖化が進めば温帯地域でも熱帯、亜熱帯性の感染症が増加すると予測されていますが、その増加の要因として蚊の北上があります。
最近ではニューョークで鳥に寄生している西ナイルウイルスが蚊の媒介によって人に感染、発症し、死亡者が出ましたが、これにも温暖化が影響していると報告されています。
蚊が媒介する感染症にはマラリア、デング熱、黄熟、日本脳炎、フィラリア等があります。
その中でもマラリアが世界の最大の感染症で、人類の約半数はマラリアの汚染地帯に住み、毎年の感染者8億人、患者は約3億人、死亡者約200万人を出しています。
マラリアはマラリア原虫で発症し、ハマダラカ属の蚊によって媒介され、刺された時に感染します。マラリア原虫は15℃以下になると生活ができなくなります。
また、媒介するハマダラカの活動限界は10℃で、最も活発に動くのが25℃前後で、40℃になると蚊も原虫も活動できません。
WHOによると温暖化で気温が3~5℃上昇すると、流行の危険地域は2割拡大し患者は年間5~8千万人増加すると予測しています。
2050年には西日本地域や東京等の都市も平均気温が上がり、危険地域に入ると予測されています。
マラリアは蚊の中にあるスポロソイド(オーシストという原虫の卵の中にある胞子)が人体に侵入すると、肝臓に入り1~2週間潜伏して増殖後、赤血球に侵入し破壊し、再び新たな赤血球への侵入、これを繰り返し原虫が増加し、その時に発熱するのです。
一定量以上の赤血球が破壊されると黄疸を伴う貧血、破壊された赤血球の破片の増加によって肝腫、脾腫になります。
とくにマラリアの中でも熱帯熱マラリアは症状が急激に重症化し、発病後5日以内に受診しないで放置すると脳を含めた全身機能不全を起こし死亡します。
マラリアの薬、予防薬としてクロロキン等もありましたが、最近は薬剤抵抗性を獲得したマラリア原虫が出現してきています。
温暖化がどの様な感染症を引き起こすのか、今後は厳重な監視が必要になってきました。
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