施術者から患者にうつさない、または患者が持ち込む病原体を他の患者にうつさないというのは常識ですが、対策には意外と抜け落ちている点がある様です。
鍼による感染の可能性がある鍼灸師は、自身の身を守る為にもB型・C型肝炎の感染の有無について鍼灸師自身の定期的なチェックを行う等、常に心がけるべきです。
万が一感染があっても早期施術すれば慢性化を防げます。
鍼灸院などの日常の感染防止対策として、患者が病院と鍼灸院を往復する様な抵抗力の低下した人や高齢者が多い事からも、院内の衛生環境の維持のため消毒・滅菌は不可欠です。
鍼灸室はディスポーザブルのシーツや枕カバー等を利用していても、見落としがちなのは待合室です。
患者がよく触れる受付のカウンターや長椅子やトイレ等は患者の手による汚染度が高いとされています。
また靴を脱いでスリッパに履き替える所では、スリッパの足の接触面が汚染されるので、消毒剤とエタノール配合のスプレーを噴霧後、直射日光下で乾燥させるといった注意が必要です。
また往診をしている施術者が注意しなければならないのが、ヒゼンダニによる疥癬です。
このダニは指の間や手関節、手掌や外陰部の角質にトンネルを掘って進み、産卵する為に非常に痒く、また改善も困難です。
免疫抑制剤を使う患者や老人に重症感染がみられ、これをノルウェー疥癬と呼んでいて感染力が非常に強いので要注意です。
施術者は特に入念な手指消毒は欠かせませんが、洗面器に消毒液を入れておいて何度も使用する、
備え付けタオルを何度も使うというのは交差汚染に繋がるので行うべきではありません。
手指は抗菌剤を含む石鹸や消毒剤を使用して、直ぐ流水でよくすすぎ、使い捨てペーパータオルを利用するといいでしょう。
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