高血圧症の患者は最低血圧が90mmHg位の軽いものまで含めると約3000万人もいます。という事は、成人の約3分の1は高血圧症という事であり、まして不定愁訴をもって治療院にいらっしやる患者さんはこれ以上の比率になると思います。
また、高血圧症の方は他の生活習慣病の肥満、糖・脂質の代謝異常を合併している頻度が高い事も疫学的な調査で明らかなっています。
ですから、国民全体の平均血圧の高低により、動脈硬化、そして冠動脈疾患や脳血管障害がどの程度、発症するかどうかの目安になる事が分かってきました。
アメリカでは、正常血圧者を含めた全国民の拡張期の血圧をたった2mmHg減少させるだけで、冠動脈疾患のリスクを6%、脳血管障害のリスクを15%減少できるという試算も出ています。
そこで1999年にWHOと国際高血圧学会は高血圧管理指針で、正常血圧を以前よりかなり低く設定(140/90mmHg)、治療の目標値を130/85mmHg未満に降圧する様に改正したのです。
ところで、健康的に長生きしている百寿者の身体調査に面白いデータがあります。
この中で、貧血、動脈硬化、脈拍数、不整脈、心雑音、内臓機能あるいは視力、聴力等は当然ながら成人の正常値より衰えていますし、異常が認められる場合もありました。
ところが百才まで健康的に生きている全員がなんと正常血圧であったのです。
長寿を迎える前に、高血圧による脳血管障害や心臓疾患などで淘汰されてしまい、最後に残ったのが正常血圧の人達ばかりだったといえます。
いかに、血圧のコントロールが大切であるかこの調査でも納得できます。
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