遺伝子療法と言っても、遺伝子その物を操作する遺伝子療法と、遺伝子は使うが遺伝子その物は操作しない遺伝子療法とがあります。
現在アメリカ等で盛んに行われている遺伝子療法とは、遺伝子を使う方の遺伝子療法で、遺伝子その物の操作を目的としたものは少数です。
がんに対する遺伝子療法を例にとれぱ、例えば遺伝子異常によってがん抑制遺伝子のp53が慟かなくなった場合、p53を作る遺伝子を持ったベクターを体内に導入する事でp53を作らせてがんを抑えるといった方法です。
つまり遺伝子そのものには手を加えなくても、細胞増殖やサイトカインなどに関する遺伝子を入れて、必要な部位で一定期間だけ作用させる事を目的にします。
このやり方の遺伝子療法なら、安全性さえ確認できればほとんどの病気に対して方法のひとつとして広く使われる事になるでしょう。
ただし、この方法では遺伝子が働かない為に起こる遺伝子病には有効ですが、働いてはいけない遺伝子が働いた為に起こる遺伝子病は対応できません。
その場合は遺伝子その物を作り変えるだけで無く、その遺伝子の発現を調整している要素までも考えなければなりません。
しかもその病気に関わる遺伝子は1つとは限らない上に、外来遺伝子を目的の所に組み込むという究極の遺伝子療法技術はまだできていないのが現状です。
【遺伝子療法事故】
遺伝子療法はすでに世界中で行われています。
がんが約7割遺伝病1割弱、その他(AIDS含む)です。
1999年にアメリカで遺伝子療法事故が起こりましたが、これはベクターのウイルスに対する非特異的免疫反応が過剰に起こった為と考えられています。
この事故以来アメリカでは技術改良だけでなく厳しい見直しがされています。
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