一度罹れば二度同じ病気には罹らない、これが「免疫」の典型的な現象です。
さて二度罹ら無いと言う事は免疫系が特定の病原菌やウイルスを覚えていると言う事です。
ある病原体が体内に侵入すると、マクロファージやNK細胞等が活躍し、B細胞は抗体を作り始めます。
2度目に同じ病原体が侵入してきた時には、B細胞が素早く抗体を大量生産しキラーT細胞も作られて、発病する前に退治してしまいます。
一度作られた抗体は体内にいつまでも残っている訳では無く、他の蛋白質と同様にやがて分解され代謝されて行きます。
つまりB細胞やT細胞の部がメモリー細胞として数ケ月以上の寿命を持ち、特定の病原体を記憶する様になるのです。
しかし例えば麻疹の免疫記憶は数年、普通の風邪ならせいぜい一年程度しか記憶は維持されません。
麻疹のメモリー細胞が数年しか寿命が無いのに、なぜ二度と麻疹に罹ら無いかと言えば、それは免疫記憶が更新されるからです。
社会生活の中で近所の子供等から麻疹ウイルスの抗原刺激を受けると、その度に抗体やキラーT細胞が作り出され、メモリー細胞は新たに産生されます。
あたかも運転免許証の書き替えの様に、有効期限内に更新するのです。
ところが近年、子供の時に麻疹を経験していても、自分の子供が麻疹に罹った時に一緒に罹る親が出て来ました。
少子化や核家族化によって、免疫記憶の更新を受ける機会が減った事が原因だと考えられています。
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