人類は進化の過程で、海中から陸上に生活の場を移したのですが、この事を可能にした臓器のひとつが、泌尿器系の腎臓なのです。腎臓と血圧の関係で言えば血液や体液の流れを円滑にする為に働きますが、言い替えれぱ塩分が容易に摂取出来ない環境でかつ重力に抗して生きる為に、腎臓と血圧は密接に連動して働いているのです。塩分を殆ど摂取し無い民族を調査すると、高齢者になっても高血圧にはなりません。しかし、塩分に含まれるナトリウムは細胞の代謝に絶対必要な物です。そこで腎臓の重要な機能の一つにこのナトリウムをいかに体内から出さない様にするかがあります。所でで、塩分を過剰に摂取するとなぜ血圧が上がるのでしょうか。実は本態性高血圧の人は元々尿細管のセンサーがかなり高い血圧をかけないと塩分を排泄しない様にプログラミングされているからだと考えられています。つまり、本態性高血圧の人は、元々塩分を体内から排泄させない能力が通常の人より勝っているとも言えるのです。海洋民族と遊牧民族の様に環境における塩分の摂取量が異なる地域のこのプログラミングに違いが出て当然です。高血圧の無い民族も文明化して塩分を摂取する事になると、その能力の為に高血圧になってしまうのです。腎臓のこの機能を考えると、塩分が血圧にいかに悪いかがうなずけます。
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