脳の進化を見ると第一は最も古い部分である後脳で、脳幹の大部分を含みます。
それは基本的には原始的な脊椎動物の脊髄の先端の小さい膨らんだ部分と同じ物です。
哺乳類以前の時代、5億年以上かかって進化した部分で多くの科学者はこの部分を爬虫類の脳に相当する物と考えています。
第二は中脳で、脳幹の最上端の小さい部分です。
この部分が大脳辺縁系で2~3億年前に作られました。爬虫類の前脳の大部分はこの辺縁系で、もっぱら嗅覚に係わっています。
この辺縁系は哺乳類で高度に発達しているので哺乳類脳とも呼ばれています。
脳のこの部分こそホメオスタシスの中枢です。第三は前脳で一部古い構造も入りますが、大脳新皮質を含めて最も新しく発達した物です。
人間の脳の進化の歴史をみて驚く事に、400万年前に生存した人の祖先と言われているアフリカのアウストラロピテクスの脳が400ccになるのに3億年もかかったものが、僅か数百万年で1250~1500ccの脳になった事です。
この過程で脳の大きさは3倍になったのですが、チンパンジーとの共通祖先から人が分岐した後に起こった脳の進化は、人の遺伝子には全く刻印されていないのです。
20万年前に現れたネアンデルタール人の段階でほぼ現在の我々の脳と同じ容量になっており、高速進化が起こったのはネアンデルタール人の段階までなのです。
しかし、この20万年以後、脳の構造そのものが基本的には変化を遂げているのです。
前頭部が劇的に発達した事が頭骸骨の比較でも解り、前頭連合野の発達がうかがわれる訳です。
最近この前頭連合野がこれまで以上に言語と関係している事が分かってました。つまり、ネアンデルタール人段階以降に質的な発達が出来たのは10万年前に生まれたと言われている言語を獲得したからなのです。
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