高齢者の腸では腸の粘膜や筋層の変化、腸内の細菌叢の変化等が現れます。
高齢者の小腸では筋層間神経叢が3割以上も減少し、バイエル板も減少します。
粘膜下層の繊維化が進み、粘膜の絨毛の高さが低くなって吸収面積が減少する事で消化機能が減少します。
とくに脂肪の吸収力が低下しますが、それに腸内細菌も悪くなると蛋白質の吸収までも低下します。
栄養の吸収力が落ちている高齢者の腸内の細菌異常を改善したところ、体重が増えて血清蛋白の値も上昇したといいますから、高齢者の栄養不良は腸の状態が大きく影響しているのは間違いありません。
一方、大腸でも年をとると粘膜や筋層が萎縮し、腸壁が弱る為動きが悪くなります。特にS字結腸や直腸等では食物の通過時間が若い人の2~3倍もの時間がかかる様になります。
筋層が萎縮する原因としては食べ物の繊維不足もその原因になっているようです。
さらに直腸壁の弾力性が衰えるので直腸に便が溜まりやすくなり、便秘になりやすいのです。しかも直腸に便が溜まっている事が感じにくいのに、肛門括約筋が緩んで便が漏れやすくなります。
特に便秘薬を長期間のみ続けている場合は、筋間神経叢の神経細胞が減るので、その傾向が強くなります。よく知られている事ですが、腸内細菌のバランスも加齢と共に変化します。
腸内にある細菌数そのものは変化しなくてもビフィズス菌は減少し、いわゆる悪玉の細菌の割合が増えるのです。
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