人の一生の中でも、女性の身体にまつわるホルモンは精妙で複雑な働きをし、特に妊娠出産とその後の女性の身体は、女性がホルモンに支配されているかの様な劇的な変化を見せます。
思春期から更年期までの妊娠可能な女性は、平均29日周期で月経がありますが、この周期は卵胞ホルモン・エストロゲンと黄体ホルモン・プロゲステロンが交互に優勢になって起こります。
卵胞ホルモンは月経が終わった後に分泌が増加して排卵を促します。
卵子が受精して受精卵が子宮に着床すると、妊娠を維持する働きのある黄体ホルモンが子宮内膜の崩壊(月経)を抑え、子宮内膜は次第に肥厚して受精卵のゆりかごとなります。
そして約40週に渡る妊娠期間中の後期には、下垂体から分泌される子宮収縮ホルモン・オキシトシンが働き始め、妊婦はしばしば腹部の「張り」として子宮の収縮を感じる様になります。
出産時にはこのオキシトシンが強く働いて子宮の収縮を促し、胎児を産道から押し出すよう働きます。
陣痛開始前に破水してなかなか陣痛が起きなかったり微弱陣痛で出産が長引く様な場合、母胎の疲労と胎児の安全を考えて、陣痛促進剤にオキシトシンやプロスタグランジン等を使用する事もある様です。
出産して胎盤の排出後に下垂体からプロラクチンという乳汁分泌ホルモンが増え始め、乳腺から母乳が分泌される様になります。
このプロラクチンには黄体ホルモンの働きを妨げる作用があり、乳汁が出ている間は排卵が起こらない仕組みになっています。
赤ちゃんが母乳を吸えば吸うほど、プロラクチンの分泌も一層盛んになり、同時に母胎が元へ戻るよう子宮の収縮も促されるのです。
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