夏、外気温が上がって体表の温度も上がると、発汗量が急に増して汗の性質が変わってきます。寒い頃に運動して一時的に発汗した時と比べて、汗の塩分濃度が薄くなるのです。汗腺の分泌管で作られた汗の原液に含まれる食塩は、導管でかなり再吸収され、外に出る汗は原液よりかなり塩分濃度が薄くなっていますが、発汗量が多くなればなる程再吸収出来ない食塩量が増える為に、身体から失われる塩分量も多くなってしまいます。だから急に暑くなった頃は、体液中の電解質のバランスが崩れ、体調も崩しやすいのですが、夏の暑さに慣れる頃になると導管の食塩再吸収の機能が高まって、汗が多い割には食塩濃度は低く、急激に塩分が失われない様になるのです。所で、汗腺を顕微鏡で観察すると汗の噴き出しが終わる度に、出た汗が少し引き込まれるのが認められます。汗腺の分泌管か導管の管腔が汗の排出直後に少し広がる様で、その時汗を引き込んでいる様です。温泉療法で、1日の内に何回も温泉に入ったり出たりするのを繰り返すのが効果的とされるのは、この療法で汗が引いた時に温泉成分が汗腺に吸い込まれ、導管から体内に吸収される為かも知れません。
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