汗の巧妙な仕組み

汗をかく最も重要な機能は体温調節ですが、大体体重70kgの人が100gの汗をかくと、その気化熱で体温が1℃上昇する事を防ぐ事が出来ます。

汗には運動や外気の温度で出る温熱性発汗と、緊張すると出る精神性発汗とがあります。

いずれも発汗を促す中枢の興奮が神経を通って汗腺に伝えられますが、脊髄を下降して側角の感神経経由でいきます。

通常自律神経は交感神経と副交感神経がお互いに桔抗しながら働くのですが、汗腺には交感神経だけが関与しています。

ただし普通交感神経の末端から出る神経伝達物質はノルアドレナリンですが、汗腺に分布する発汗神経は副交感神経の伝達物質であるアセチルコリンで、これは例外的な事です。

何故この様な事になったかと言うと、通常の発汗はエクリン腺ですが、もう一つの発汗作用のあるアポクリン腺の働きと重なる事を防ぐ為だったのです。

アポクリン腺と言えば性的な刺激を誘発するフェロモンとして働いています。

その末端の伝達物質はアドレナリンになっているのです。このアドレナリンは元々感情の高ぶりや性的刺激によってより興奮性を高める働きと連動しています。

ですから通常の体温調節の為の発汗がアセチルコリンである事は、汗をかく度に性的興奮が誘発されない様になっている巧妙な仕組みなのです。

鶴巻温泉治療院