糖尿病においてカルシウムの摂取は大切です。
カルシウムはインスリン分泌調節に影響しています。食事によって徐々に血糖値が上がっていくと、ラングルハンス島のβ細胞は活動電位を発生させます。
これが電位依存性カルシウムチャンネルを開き、細胞内にカルシウムが入り、インスリン分泌顆粒が刺激されて、細胞外にインスリンが分泌されるのです。
この血中のカルシウムが不足するとインスリン分泌障害が起きるのです。更にインスリンはビタミンDにも作用して活性型ビタミンDを腎臓で作りますが、インスリンが不足すると活性型ビタミンDが不足して食品からのカルシウムが腸から吸収されにくくなってしまうのです。
また高血糖で細胞の浸透圧が高まると、細胞内の水分が出る事で尿が増え、その時に尿中のカルシウムも一緒に出てしまいます。
その為に骨が脆くなる糖尿病性骨粗鬆症の危険性が高くなるのです。
骨粗軽症には2種類あり、閉経等により急激にカルシウムの流出が多くなる場合と、糖尿病など他の2次的な病気によるものがあります。
骨にはインスリン受容体があり、このインスリンが新しい骨芽細胞を増殖させる作用があるのですが、欠乏すると骨芽細胞の機能や数を低下させ、その為に骨の形成能力が落ちるのです。
また高血糖のためにコラーゲン等の骨に含まれている蛋白質が糖化され、骨の正常な新陳代謝を障害する為に骨の強度を減弱させると考えられています。
1型糖尿病ではインスリンの欠乏が子供の時に発症するので、骨が十分に成長できずに、成人後の最大骨量が少なくなく、健常人に比べ2倍の割合で骨折の危険があります。
2型糖尿病患者では成人後に発症するので骨の減少は無いという事が言われていますが、2型でも糖尿病の罹患期間が5年以上であれば骨塩量が低下しているという報告があります。
骨量減少を防ぐ為には、血糖値のコントロールと食事の時にはカルシウムをしっかり摂る事も忘れないで下さい。
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