高血圧症の改善の基本的なやり方は生活習慣の改善の為に食事療法や運動療法等を指導して、それでも下がらない時に薬物療法に切りかえる、となっています。
しかし、実際は最初から薬物療法を始めるケースがかなりあります。
1999年にはWHOと国際高血圧学会が、また2000年に日本でもそのガイドラインに習って、高血圧の基準がかなり低く設定(一般成人130/85㎜Hg)された事もあって、益々薬物療法が加速しています。
薬をチェックする民間機関の医薬ビジランスによれば、新基準によって血圧降下剤を必要とする人が日本だけでも3000万人以上増えて、1兆円の薬剤費が必要になるといいます。
もちろん、高血圧の改善は心臓疾患、脳卒中、腎臓病などの合併症を予防する為であり、薬物療法を否定するのではありません。
ただ、これらの合併症は加齢、閉経、糖尿病、痛風、高コレステロール、高脂血症、家族歴等の他の危険因子も関係するので、血圧だけを下げたからといって、予防できるものではないのです。
高血圧を改善すると確かに上記の疾患で死亡する人が少なくなる事は疫学的に証明されています。
しかし、そこには数字の落とし穴があります。
つまり、元々高血圧になるは臓器に血が足りなくなった為でもありますから、一種の生体システムの防衛反応であると考える事ができます。
その状態を薬物で低くするということはある意味で循環を悪くすると言いかえる事もできるのです。
特に高年齢者の場合には急激に血圧を下げたりすると、かえって脳や心臓への血流量が減り、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす危険性もあります。
このようにむやみに降圧剤を使用する事は、結果的に他の疾患を増やす事が考えられます。
新基準による高血圧投薬により、心筋梗塞等は減少しても全体の死亡数は変わらない、むしろ逆に増加すると警鐘をならす研究者もいるのです。
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