高齢になるに従ってがんになる率は加速度的に高まります。
60歳でがんになる率は男女とも7%強ですが、80歳になると男性で36%、女性で21%になります。
老人医療センターで亡くなった人(5000人、平均82歳)の半数は直接の死因はともかくがんを持っていたという調査もあり、人は年をどればそれだけがんにかかりやすいのは確かなようです。
しかし高齢者のがんは若い人のがんとは違った面がある事も確かです。
例えば高齢者の乳がんは比較的大人しく、女性ホルモンに桔抗する薬がよく効くといいます。
70歳以上では乳がん摘出手術と薬だけの方法を比較して、両者の生存率が変わらなかったというイギリスの報告もあります。
つまり同じ部位のがんでも年齢によってその性質が変化するものがあるのです。
また療法だけで無く、検査方法にも配慮が必要になります。高齢者では生活習慣病などの合併症を持つ事が多く、心肺機能、肝臓・腎臓等の予備能力にも大きな個人差があります。
ですから組織検査の為の試験切除など、身体に負担のかかる検査は避けなければならない事が増えると同時に、医療に耐えられるかどうかの判断も必要になります。
更に複数のがんにかかる事もあって根治的改善が難しい場合も増え、緩和医療が主体となる事も多くなります。
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