膠原病を始めとする自己免疫疾患は、男女を比べてみると多くは女性に多いのが特徴です。
女性の自己免疫疾患の発症が思春期以降に多かったり、月経や妊娠等、ホルモンの量が大きく変化する時期に対応して症状が変化する事から性ホルモンが大きく影響している事は確かな様です。
しかしそれだけでは無く、そもそもが男女の性染色体の違いによるからだという論もあります。
男性はXとYの染色体を持ちますが、その場合Yは父から、Xは母からもらいます。
一方女性はX染色体を父と母から1本ずつもらいますが、生きて行く上では1本で用が済みますから(そうでなければXY染色体は困ります)、どちらか一方のX染色体は不活化されます。
どちらが不活化されるかは細胞によって異なります。つまり女性の細胞には父Xを持った細胞と母Xを持った細胞(が作った蛋白質)が混在する事になるのです。
当然免疫細胞でもどちらかが不治化されています。例えば母X細胞と母X免疫細胞、父X細胞と父X免疫細胞が接した時には“自己"ですから免疫反応は起こりません。
しかし母X細胞と父X免疫細胞、父X細胞と母X免疫細胞が遭遇すると“非自己”として攻撃し始める事があるというわけです。
女性が2本のX染色体を持っているという事は、本来は生物としての多様性があるという事で、生物としては生き残りに優れていると言えるのですが、時としてそれが両刃の剣にもなるという事なのかもしれません。
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