毎年冬場が近づくと、新型インフルエンザの出現が恐れられています。
いま新型インフルエンザが発生すれば、日本だけでも死者が数十万人も出ると予測されています。
日本では1997年に対策検討委員会ができて、危機管理対策が始まりました。
1999年1月~2月にかけて、三重県多度町の精神病院で入院患者19人がインフルエンザの集団感染で亡くなりました。
保健所で詳しく調べたところ、患者の多くがインフルエンザの感染と共に、抗生物質の効かないMRSA(メチシリン耐性プドウ球菌)に同時に感染していて、MRSAの出す毒素でショック死する「毒素性ショック症候群(T S S : Toxic ShockSyndrome)」で亡くなった可能性が高いと分かりました。
それまで日本ではインフルエンザの集団感染でTSSによる複数の死者が報告された事はなかったのです。
TSSは、手術後の傷に感染したMRSA等の細菌から出た毒素が全身をかけ巡り、ショックを起こす症候群の事です。
「人喰いバクテリア(マンイーター)」と呼ばれる劇症型のA群溶血性連鎖球菌も、インフルエンザウイルスと同時に感染すると致死率が急上昇する事が、大阪大歯学部の川端教授らのマウス実験で確かめられました。
A群溶連菌、インフルエンザウイルスの単独感染では、致死率は共に10%以下なのに、インフルエンザ感染の後にA群溶連菌に感染させると90%以上が数日で死んだのです。
A群溶連菌は多くの人の咽頭部に常在しており、MRSAも今や保菌者は普通の人にもかなりの割合で見られ、これらを撲滅するのは困難なので、対策に苦慮しているのが現状です。
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