日本人の3大死因はがん・心疾患・脳血管疾患ですが、最終的に肺炎特にカビによる真菌性肺炎で亡くなるケースが少なくありません。
カビの胞子は細菌と共に空気中を常に無数に飛んでいて、呼吸時に吸い込んでいますが、健康で免疫系が正常であれば何も問題はありません。
気管の粘膜にある繊毛が働いてカビの胞子を排出し、肺胞にまで入り込んでもマクロファージが処理します。
しかしがんや白血病など重い病気で体力が落ち込んでしまうと免疫力も低下し、侵入したカビを排除できなくなってしまいます。
臓器移植で免疫抑制剤を投与されている人も同様で、一旦侵入したカビは発育が非常に早く、あっという間に肺全体に広がって、短期間に亡くなる事が多いのです。現在の医療現場で最も問題になっているカビの病気は、アスペルギルス症とカンジダ症です。
アスペルギルス症は診断が難しく、薬も効きにくく、また肺や角膜や脳など身体中のあらゆる臓器に生えてしまうやっかいな病気です。
またあらゆる人に一番身近なカビといえば、人の身体の中に棲みついている、カンジダ・アルビカンスです。7万種あるといわれるカビの中でも、このカビだけが人の口腔内や大腸等の消化管に常在する事ができるのです。
カンジダ・アルビカンスは普段はいたって大人しく、病気を起こす事は無いのですが、抗がん剤等で腸粘膜が大きく傷付くと、組織内に侵入して全身に広がってしまいます。
ところで30~40年前の日本ではカビの病気といえば水虫等の皮膚病が中心でした。
医療の進歩により、抗生物質や抗がん剤・免疫抑制剤・ステロイド剤等の開発で、腸管の菌叢が破壊されたり、免疫力が低下した人に重篤なカビの病気が増えたのは皮肉な事です。
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