老年症候群

病気になった時、若い人にとってはその病気の完全な治癒が目的になります。

しかし高齢者にとっては元の健康体に戻る事は難しく、症状を和らげながら、いかにADLを保つかという事が目的になっていく事が多くなります。

また高齢者に特有の老化という生理現象に加えて複数の疾患等が重なっています。

したがって個々の疾患をターゲットとするより、様々な症状を症候群として捉える方がより正しく高齢者を捉えられるという事で、それらを一括して“老年症候群”という考えで扱うという動きが広まっています。

アメリカの老年学者B.アイザックは高齢者の重大な障害を“4大兆候”として痴呆、転倒、寝たきり、尿失禁をあげていますが、老年症候群の中でも高齢者のADLやQOLを低下させる筆頭といえます。

これらの疾患は、最初はひとつの病気で始まった場合でも不可逆的に慢性化しやすく、老年症候群となり複数の疾患同士が悪循環を作り上げて要介護状態になりやすいのです。

この老年症候群という捉え方は医療やケアの現場でも一般的になりつつあります。

老年症候群
認知障害をもたらすもの   抑うつ、せん妄
廃用性萎縮をもたらすもの   寝たきり、骨折
感覚障害をもたらすもの   視覚障害(老眼や白内障など)  聴力障害(難聴)、味覚障害
その他   低栄養、脱水、褥瘡

鶴巻温泉治療院