行動療法とは1950年年代に出現した心理療法です。他の心理学が人間の深層心理や無意識の面から、人間全体にアプローチしていく様な哲学的な体系が多いのに対して、対象とその反応(=行動)を変化させる為の技術的方法の全体に過ぎないといっても良いでしょう。
その考え方のベースにあるのは、人の行動は言葉で説明する事ができ、予測や制御をする事ができる、つまり定式化できるという事です。
人は刺激に対して反応し、その繰り返しの仕方が、その人特有の生活パターンや行動パターンを作ります。
つまり、行動療法とは刺激と反応の枠組みの中で行動を捉え、そこで明らかになった問題を実際の場面で応用する技術なのです。
もちろんその場合、単なる“行為"だけでなく、不安や憂鬱感等の感惰、思考や物の見方等も含めます。感情や思考も、ある刺激とそれに対する反応が積み重なって、その人のパターンとなっています。
もちろん行為と感情と思考は互いに作用し合います。その様に刺激・反応の繰り返しで出来上がったその人の行動パターンを言語化する事によって、問題点を自覚させます。そして好ましく無い習慣や行動を変えようとするのです。
ですから行動療法では、「なぜその様な行動をするのか、行動に隠された意味は?」という分析は問題にしません。
その行動は「現にどの様に起こっているか」に注目します。つまり当面の好ましくない行動(感情も含む)を変化させるためには、「今できる事」に注目して実行する事で、自動的になっている反応に介入して望ましい行動ができる様に仕向けるのです。
ですから具体的で、セルフコントロールとして誰でもが応用しやすい方法だといえます。
現に行動療法は、精神医学や心身医学の分野だけでなく、健康医学、リハビリ、教育、司法、環境など、実に広い分野で効果を上げており、方法も技術化されていて、バリエーションも実に多彩です。
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