呼吸は延髄にある呼気と吸気の中枢の支配を受けて呼吸運動が起こります。
また、肺迷走神経反射(ヘーリング・ブロイエル反射)により、呼吸運動は規則正しいリズムに調節されています。
肺が膨張すると吸気が抑制され、肺が収縮すると吸気促進に働きます。
ところがこの様な呼吸運動の調節が上手くいかないと息苦しいという自覚症状つまり呼吸困難になります。
呼吸困難の発生には血液化学成分の変化(酸素低下や炭酸ガスの増加、pH低下)、換気の機械的因子の変化(換気仕事量の増大、胸腔内圧の増大)、肺循環障害(肺うっ血)、神経性因子(心因性)、中枢性の連続刺激等が考えられています。
しかし、これらの原因が必ずしも呼吸困難になるとは限りません。
そこで、最近注目されているのに、気道内受容体説があります。
これは気道内や肺実質内にある刺激受容体、肺胞壁にある傍肺胞受容体、呼吸筋にある筋紡錘、頚動脈球や呼吸中枢による化学受容体にー度に複数の刺激が伝わると、呼吸困難が発生するというものです。
これらの受容体を刺激する病気があれば呼吸困難が現れるのです。突然起こる場合は、肺塞栓症、自然気胸、異物誤飲、心筋梗塞が考えられます。
咳や痰などがあった1~2日後で起こった場合は、気管支喘息、急性肺炎、肺水腫、うっ血性心不全があります。
また、慢性の呼吸困難には、肺気腫、びまん性汎細気管支炎、間質性肺炎等があります。これらの呼吸困難は労作時の息切れ等から始まって呼吸困難になります。
呼吸困難の強さの分類(Hugh-Jones)
1度―同年代の健康な人と同様に仕事ができ、歩行、階段の昇降も健康な人と同様にできる。
2度―平地では同年代の健康な人と同様に歩行できるが、坂や階段は健康な人と同じ速さでは歩けない
3度―平地でさえも健康な人と同じ速度では歩けないが、自分のペースでならば1㎞以上歩く事ができる
4度―休みながらでなければ、50m歩けない
5度―話をしたり、着物を脱いだり、身の回りの事をするにも息切れがする
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