ワーキングメモリー

脳の活動を調べる為には、動物の場合は電極を刺したり局所を切除する事でその機能を確認できます。

しかし人間の場合はこの様な事は出来ないので、事故や病気等で脳を損傷した患者を観察する事で推論していました。

しかし脳を損傷せずに調べ事が出来るPET(陽電子放射断層撮影法)が1990年代初期に出来、更に機能的MRIの出現により、脳の血流量の継時的変化を見て、約2mmの解像度で活動中の神経細胞群の位置が画像で分かる様になりました。

これにより前頭前野の活動の様子が分かり、我々の精神活動すなわち意識を司る中枢の存在が次第に解明されて来たのです。

その部位の事をワーキングメモリと名付けたのはイギリスの認知心理学者アラン・バトリーでした。

このワーキングメモリは「行動や決断の為に必要な様々な情報(記憶情報を含む)を一時的に保持しながら、それらの情報を組み合わせる事で、行動や決断を導き出すための認知機能」と定義しています。

さて、その意識の中枢として今脚光をあびているのが前頭連合野の特にその背外側部にある46野と呼ぱれている部位です。

この部位は空間情報や言葉をワーキングメモリに記憶する時に活発に活動している事が機能的MRIによって明らかにされたのです。

しかし脳の持つ複雑で多層的な活動と機能を考えるとこれが意識の中枢だという結論には至っていないのが現状です。

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