花粉症は抗原とlgE抗体の結合による典型的な即時型アレルギー反応です。日本の花粉症の8割はスギ花粉症ですが、抗原としての花粉は50種以上あります。
60年代まで日本に花粉症は知られていませんでした。
戦後日本では・58年以降、天然林を皆伐して人工造林するという拡大造林政策の元で、スギ1種類だけが一斉に植えられました。
そして76年にスギ花粉症の最初の大発症が起き、以来何度も大発症しています。
年々スギ花粉のlgE抗体を持つ人が増え、子供の花粉症も増えています。
世界的にも「都市化」により花粉症の増加がみられ、花粉症の増加と大気汚染、特にディーゼル排出粒子との関係が深い事が分かっています。
マウスの実験ではディーゼル排出粒子に特異lgE抗体産生完遂作用のある事が確かめられました。例えば東京の多摩地区でスギ花粉が多い所よりも、花粉源から離れてはいますが大気汚染の多い大田区の方がスギ花粉症有病家が高いのです。
また都会の気密度の高い住居ではカビ・ダニ等が発生しやすく、花粉症患者の約40%がダニにもアレルギーを起こします。
花粉症には“減感作療法”という、薬によって予防する方法が最も効果的だといわれています。この方法は、数ヶ月から数年にわたって花粉症のアレルゲンを注射し続けるもので、約70%の患者に効果が認められています。
ですが、効果が表れるのには、個人差が大きいとされていて、絶対的な効果ということではないようです。
そこで“DNAワクチン療法”が開発され、今までの減感作療法より安定した成果が期待されています。
“DNAワクチン療法”とは、スギ花粉からアレルギーの元となる花粉のDNA(抗原遺伝子)を取り出して「プラスミド」というベクター(遺伝子を運ぶ箱)に組み込んで、花粉症患者の体内に送り込み、アレルゲンへの耐性を高めていく方法です。DNAワクチンは体内でアレルゲンが作られていく仕組みなのです。
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