胸痛発作や胸部不快感等の症状は狭心症、心筋梗塞の虚血性心疾患でみられます。
胸痛が起きるのは心臓を取り巻く動脈壁のあちこちに、小さな蛋白質からできた血管の圧力感知センサーがあり、血管が詰まったり、破れたりすると、血液の流れが落ちて、その異変が脳の自律神経中枢にある血圧調節機能に働き、血管の幅を広げたり狭くしたり調整します。
その血管調整作業が緩やかに行われていれば、何も症状は出ませんが、血管が急に縮んだり、広がったりすると知覚神経の刺激となり痛みが出るのです。
狭心症は心筋が虚血した為に胸痛が発生します。
ところが最近、痛みがない狭心症ともいえる無症候性心筋虚血症が注目されています。
痛みに対する閾値が高い人の場合や血管の反応が鈍い人の場合にあるようです。発症頻度は痛みのある狭心症と同じ位です。
冠状動脈にひどい動脈硬化が数カ所あってしかも昼夜を問わず、虚血反応を起こしても胸痛がないのです。
運動負荷心電図や24時間心電図で初めて分かる病気なのです。胸痛がないので病気に気づくのが遅れたり、油断して心筋梗塞に進行します。
健康と思っていた人が過労で突然心筋梗塞になるのはこの事が考えられます。心筋梗塞は激痛が伴いますが、全体の10~15%には無痛性の場合があります。
高齢者や糖尿病患者では更に割合が増えて発病する人の約35%は無痛性といわれています。動脈硬化で硬くなった血管は調整機能の働きが鈍くなっていると考えられています。
また逆に血管の圧力感知センサーの過剰反応で血管が突然痙攣を起こす血管性攣縮性狭心症による胸痛発作があります。
夜間から朝方にかけて睡眠中に起こり、冠状動脈の血管が約1cmの長さで攣縮して数秒から数分間血流が停止するのです。動脈硬化が合併していれば心筋梗塞の危険があります。
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