高齢者の身体は若年者と比較して、基礎代謝で体内に取り入れられる水分は少ないのに、腎臓の尿細管での再吸収も少ないので排泄される水分が多く、非常に脱水症状を起こしやすく周囲の注意が必要です。尿の状態は高齢者の体調を測る目安のひとつで、尿量の異常、排尿困難、血尿、失禁など、それぞれに原因となる病気があります。
尿量が2000ml以上の多尿は糖尿病や尿崩症によって起こる事が多く、400m1以下の乏尿は脱水があったり、心臓病や腎臓病等が原因にあります。
また乏尿は胃薬や風邪薬や不整脈の薬等の抗コリン作用がある薬の副作用でも起こり、尿が出なくなるだけで無く、唾が出ない、眼圧が上がる、便秘になる等の症状が現れ、緑内障や前立腺肥大がある人は要注意です。
膀胱に尿が溜まってきて排尿したいのに尿が出にくい、夜中に何度もトイレに立っても少ししか出ない、出終わるまで時間がかかる等の排尿障害は高齢の男性では前立腺肥大でよく見られます。
初期の症状ならα遮新薬や女性ホルモン剤などが使われ、薬物療法の効果がない時は経尿道的前立腺切除術などが行われます。
心配なのは前立腺がんでも同様の排尿障害と尿道狭窄が起こる事です。女性ではひどい便秘の時に尿が出にくくなる事があります。
血尿は膀胱炎、尿路のがん、腎孟腎炎、尿管結石等で起こりますが、高脂血漿薬や通風薬、抗アレルギー薬や抗生物質等の副作用でも起こります。
高齢者の尿の異常は水分代謝の状態を知る上で大切ですが、持病を持っている高齢者の服薬状況も把握しておく事はとても重要なのです。
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