「三つ子の魂百まで」というように性格傾向が生まれつきなのは昔から経験的に知られていました。
それが、実際性格に影響を与える遺伝子が存在すると考えられる様になってきました。
最近では特定の性格を脳内ホルモンや神経伝達物質、またその受容体など、脳の機能的あるいは器質的なものとして説明する事ができるようになっていました。
ですから遺伝子という命令書までさかのぼる研究も割りと容易であるわけです。
例えば、ドーパミンは脳のやる気を与える物質ですが、少ないと気分が落ち込みやすい性格になるといわれています。
量的な問題だけでなくドーパミン受容体の能力の低下でも同じ事が起こります。
このドーパミンの受容体を合成する遺伝子が第11染色体の短腕上にあるD4DR遺伝子です。
この遺伝子の真ん中には変異しやすい反復配列がありますが、その反復回数は2回から11回と人により違うのです。
この反復回数が多いほどドーパミン受容体の能力が弱まる事が分かりました。
反復回数の多い長い遺伝子を持っている人の脳内のいくつかの部位で、ドーパミンに対する反応性が低下している事が明らかになっています。
そこで一時この遺伝子がうつ病の原因遺伝子では無いかと疑われましたが、現在では否定されています。
うつ病に関してはX染色体にある種のうつ病に関与している遺伝子があるらしいと言われたり、18番目の数カ所と21番目の1ヵ所に躁うつ病の発症しやすさと関係する遺伝子がある等と示唆されていますが、証明されていません。
このように脳内の伝達物質や受容体に関与する遺伝子が特定されても、実際は人間の精神の営みは非常に複雑な要素を含んでいるので、性格や精神、精神疾患を遺伝子レベルで特定する事は極めて難しいと言えます。
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