脳梗塞にはアテローム血栓性脳梗塞、心原性脳梗塞とラクナ梗塞とがあります。
アテローム性の梗塞は欧米人に多い(20%前後)のに対してラクナ梗塞は日本人に多く(30~40%)、また最近増加傾向にあります。
ラクナ梗塞とは、脳の深い部分や脳幹等を貫く細い動脈(穿通枝動脈)が閉塞を起こし、その動脈の周りが梗塞するもので、数ミリ、最大でも15㎜の小さな梗塞です。
大血管の病変や心原性の塞栓でも起こる事もありますが、大抵は穿通枝の血管自体に原因があると考えられています。
症状としては、意識が無くなる等の劇的発作は無く、ゆっくりと前触れも無く起こります。
時にパーキンソン様の歩き方(足が出ない、歩幅が小さくすり足になるなど)になったり、言葉が出にくい、嚥下し難い、意欲が無くなる等の症状が出ます。
しかし多くは梗塞部分が複数ある事も珍しく無いのに、無症候で、CTやMRIの検査で初めて見つかると言う場合がほとんどです。
無症候性の脳梗塞の8割はこのラクナ梗塞と言われています。
また50歳以上では8人に1人の割合でこの梗塞が認められ、高血圧で高齢になると半数以上に見られる様になります。
ラクナ梗塞のある人は脳卒中発症率が高い危険群で、主な危険因子は高血圧や糖尿病とみなされています。
予防としての抗血小板薬は有効では無く、血圧が高いとかえって脳出血を起こす可能性があります。
無症候であっても梗塞が増えて行けば血流・代謝が減少し、脳の機能低下から寝たきり、痴呆へと進む可能性があるので、高血圧、糖尿病、喫煙等のリスク管理をしっかりしなければなりません。
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