以前に述べた各所の痛みを拾いやすい原因ですが、ではその組織に負担をかける原因を説明となります。
腹横筋は胸腰筋膜の中層と連続しています。浅層・中層・深層とある内中層は横突起に付いています。内腹斜筋も中層に付着します。つまり横にの引っ張りの働きをします。内側のインナー筋である腹横筋の出力が無いとアウターである脊柱起立筋・広背筋の緊張が増加します。腹横筋にアプローチをいたします。
結果動作時に骨盤後傾が阻害されて股関節深屈曲時に股関節前面の負荷がかかります。
外腹斜筋の伸張不全があると同側回旋の制限が起こります。図のヒトの右股関節に痛みがある場合本来なら右に体が捻って欲しいのですが、伸張不全の場合には前恥骨靭帯を引っ張る事になり長内転筋にも引っ張る形になります。そうなると鼠径管自体を締め付ける形になります。結果インピンジメントが起こってしまいます。外腹斜筋にアプローチをいたします。
骨盤の部分では腸腰靭帯、腰仙関節、下位腰椎の椎間関節の拘縮が影響を与えます。腸腰靭帯は5つの靭帯があり前腸腰靭帯、後腸腰靭帯、上腸腰靭帯、下腸腰靭帯、垂直腸腰靭帯がありそれらの複合体が腸腰靭帯と呼びます。L5背側の腸腰靭帯は腰方形筋とも筋繊維が連続性があり付着していたりしていると機能解剖学的に言われています。特に問題となるのはL5-S1が図の右回旋すると左側の腸骨と横突起間の腸腰靭帯が引っ張られます。逆に左側の腸腰靭帯はたわんだ状態になります。緊張状態にあると可動性を制限します。
L4L5の腰椎の回旋変位がある場合腸腰靭帯を緊張させてしまって股関節屈曲の時にたるまない事になり股関節前面の痛みにつながる事が起こりえます。更に仙骨自体のアライメント自体の位置腰仙関節、腸骨と仙骨の関係も痛みとして起こります。腸腰靭帯にアプローチをいたします。
本来なら股関節深屈曲の場合骨盤後傾腰椎後湾となるところですが、腰痛を持っていて腸腰筋が緊張をしていて、それに伴い多裂筋も緊張している場合です。長年の腰痛などの場合多裂筋そのものが線維化してしまい当然たるまないので股関節深屈曲した場合多裂筋が硬くなって仙骨・骨盤自体を後傾するのを阻害して股関節前面の痛みとなってしまいます。多裂筋にアプローチをいたします。
逆にサッカーのリフティングの場合は腰椎後湾、骨盤後傾ですがこの姿勢で動作の習慣化が行われると多裂筋の使わない動作となり、大腿直筋主導の動作となり大腿直筋付着部の90°屈曲の反回頭のインピンジメントや大腿直筋緊張の為のオスグッドの原因となります。インピンジメントにアプローチをいたします。
臓器の原因で神経筋肉に影響を与え痛みが出る場合もあります。例えば右側には肝臓があり、何らかの理由で下垂して右腎臓を下げる働きをするとか右にある十二指腸に引っ張られるとかで腎臓下垂した場合腎臓の近くに腸骨下腹神経・腸骨鼠経神経・外側大腿神経・大腿神経があります。
腎臓の位置が丁度上位腰椎である腸骨下腹神経、腸骨鼠経に位置しているので鼠径部の痛みの原因となるケースもあります。実は腎下垂が腸骨下腹神経、腸骨鼠経神経の組織間の神経終末の滑走が悪くなる下垂され伸張されて膜組織が滑らないと関連痛で鼠経靭帯周辺の痛みが出るケースもおこりえます。鼠経靭帯にアプローチをいたします。
L3辺りまで下がるようであれば大腿外側皮神経の痛みとして出る可能性も関連痛としておこりえます。腰椎椎間関節1番2番3番にアプローチをいたします。
ですので臓器がまったく股関節周囲の痛みとは関係無いとは言い切れず関連痛を常に考える必要があります。
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