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皮膚の記事一覧
掌蹠膿疱症にはかゆみの皮膚疾患だけでなく高脂血症、高血圧、コレステロール値が高い、糖尿病などのメタボリックシンドロームと甲状腺の障害、過敏性腸症候群などがありますが、注意しなければならないのは掌蹠膿疱症性骨関節炎です。痛みはかなり強く突然の激痛で救急車で運ばれるほどだといいます。また痛みが消えたりと波があります。好発部位は胸鎖関節で赤くなって触れるだけでも痛みを伴います。鎖骨全体であったり肩鎖関節であったり肩甲骨や胸肋関節の場合もあります。掌蹠膿疱症の方は発見されますが、皮膚症状が出る前に先に関節炎の症状が先に出た場合診断が特定されずに遅れるケースがあります。その場合胸鎖関節炎などの診断がついていたり、心因性などと扱われ場合もあり皮膚症状が出ない方は辛い思いをされます。掌蹠膿疱症患者は12万人で診断されていない方を含めると更に多くなります。手や足に膿を持った水膨れができますが無菌性です。タバコとの因果関係があり患者さんの6~8割が喫煙者になります。女性の比率が高く免疫の異常が原因で免疫異常が自分の皮膚を攻撃してしまいます。
病巣感染で体に問題があると遠隔部位に炎症を起こす為だとされています。扁桃病巣、虫歯、歯周病が原因で起こったりするケースがあります。歯の詰め物のインレイのアレルギー性もあり、私の接して来た方はやはり口腔内の問題を持った方です。
年を取ると次第に肌はかさかさして来て、保温が出来無くなり玉の様なつるつる肌ではいられ無くなります。
これは表皮角層水分保持機能が衰える事で起こります。
この角層は皮膚の最上層にあり約20ミクロンの組織で角質細胞とそれをとり巻く細胞間脂質(セラミド)からなり、1日に表面の一層が剥げ落ち垢になります。
角層内には通常水分は約30%あり、柔軟性や潤い、乾燥防止等に貢献していますが、アトピー性皮膚炎や、乾皮症等では水分は低下しています。
通常、この水分は角層内にしっかり保持されている事から特別な保持機構があり、それはアミノ酸等の水溶性低分子物質だと考えられていました。
最近この角層の中にはセラミドを主成分とする脂質が脂質二重層を形成して、水分子を結合する形で抱え込む事で性質が水分保持機能を持っているのだと言う事が明らかになってきました。
この脂質に含まれる水分は脂質と結合しているので不凍水になり、-40度の環境でも凍ら無い事が確認されています。
また例え乾燥状態でも蒸発しない水として大変重要であるのです。
この事が人間が砂漠の様な乾燥地帯からツンドラの極東地という厳しい環境にも適応する事を可能にしたのです。
人類が地球上のあらゆる所で生存出来るのも、実はこの角層の脂質二重層の中の不凍水のお陰だったのです。
自分は水虫では無いと思っている人の中にも実は水虫に感染していると言う人は多いのです。
水虫の症状と言えば強い禅み、趾の間のジクジクやカサカサの皮膚症状が特徴ですが、そういう症状の無い痒く無い水虫があります。
その様な痒く無い水虫には角化型(足の皮が厚くなるタイプ)と爪に菌が住み付く爪白癬のタイプがあり、角化型は足の裏や踵がガサガサになり、爪白歯では爪が濁ったり厚くなったりします。
踵がガサガサでストッキングがすぐに伝染すると言う女性は多いですが、加えて爪が濁ったりしていればほぼ隠れ水虫と言えるでしょう。
また老人の中には爪が厚ぼったくなっていても老化現象だと思っている人がいますが、これも爪白癬と言う水虫である事が多いのです。
この水虫には塗り薬を使っても爪や踵には浸透し難いのでなかなか改善しませんが、菌だけは撒き散らすのでこうした一見水虫でないような水虫も他人に感染させます。
しかも同じ白癬菌でも人によって症状の出方が違うので、染された人が痒い水虫になる事もあります。
こうした隠れ水虫を治すには皮膚科できちんと診断を受けて飲み薬を処方してもらうしかありません。
アトピー性皮膚炎と同じ様に免疫が関与していると考えられている皮膚病に乾癬がありますが、はっきりした原因は不明です。
乾榔には尋常性乾癬が最も多く、中には難病指定されている膿胞性乾癬があります。
患者さんは10万人と推定され、働き盛りの人に多く、2:1の割合で男性に多い疾患です。
乾癬は慢性非伝染性の皮膚病で、炎症性角化症の代表的なものです。
皮膚の真皮部分で起こる「炎症」と、皮膚の表皮や角層も分厚くなる「角化症」が同時に起こって来る皮膚症状を指します。
正常な皮膚細胞の新陳代謝は、約28日かかりますが、7~10倍の速さで分裂増殖し表皮が分厚くなります。
結果としてうろこ状の鱗屑(りんせつ・かさぷた)が形成される事になります。爪を含む皮膚の全ての部位に現れ、特に症状が出やすいのは、肘、膝、腰、頭等です。
激しい痒みと、ボロボロと剥がれ落ちる鱗屑を伴う赤斑あるいは平らな盛りあがりを特徴として、痛みを伴う場合があります。
最近の研究で角層を調べたところ、そこに白血球を引き寄せる活性物質を沢山見つけたのです。
この物質は免疫反応の結果できる「活性ペプチド」という物質である事が分かり、そこで臓器移植の際に拒絶反応を抑える為に使われる免疫抑制剤「シクロスポリン」が、この病気に効く事が分かり免疫が関与していると考えられているのです。
働き盛りの男性に多いこの疾患は症状が人目に付きやすい割にはあまり知られていない為、社会的な偏見が生まれがちです。
汗の腺にはエックリン腺とアポクリン腺の2種類があり、普通「汗をかく」と言う時の汗はエックリン腺からの汗の事です。
エックリン腺は外耳道や爪で被われている部分や唇など、限られた部分以外身体のほとんどの部分に広く分布しています。
エックリン腺は少ない人で約1200万個、多い人で500万個と差がありますが、全てが汗を出しているわけでは無く、実際に活動しているのは半分程度です。
汗の成分は99%以上が水で、極少量の塩化ナトリウムやカリウム、カルシウム、重炭酸イオン等の電解質、尿素、アンモニア等が含まれ、血漿から作られるので血漿の成分とほぽ同じです。
最初汗の原液は血漿と同じ位塩分濃度が濃いのですが、エックリン腺の導管を通る段階でイオン類が血漿に再吸収されます。
夏の始め頃はかなり濃度の濃い汗を分泌していますが、ひと夏が過ぎる頃には大切なミネラル分は上手く回収、体温調節には水分の多い汗をかく事が出来る様になります。
さてエックリン腺に分布している自律神経は交感神経だけで、その神経伝達物質はアドレナリンとノルアドレナリンですが、エックリン腺のみ例外的にアセチルコリンです。
体温調節に不向きでノルアドレナリンに反応する原始アポクリン腺からエックリン腺が進化した時、伝達物質も皮膚の血管を収縮させないアセチルコリンに変えたのです。
これは人が進化の過程で、体温上昇に弱い脳細胞を異常に発達させた為、求愛行動に不可欠なアポクリン腺からの性的アビールを犠牲にしてまでも、エックリン腺という体温調節器官を発達させる必要があったからなのです。