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悪魔の薬から福音の薬へ

2021.06.11 | Category: 免疫

サリドマイドといえば1950年代に歴史上最大の薬害をもたらした「悪魔の薬」です。安全な睡眠薬として処方箋も要らずに広く使われ、妊娠中の服用によって胎児の四肢(特に上肢)に奇形を起こし、いわゆるサリドマイド児を5000人以上、日本でも309人の被害者を出しています。そのサリドマイドが最近になって見直され、「福音の薬」として脚光を浴びています。最初はイスラエルの医師がハンセン病の難治性の皮膚炎に劇的な効果があると報告したもので、その後全身性エリテマトーデス、ベーチェット病、エイズ等、難治性の粘膜皮膚疾患にも特効薬と言えるほどの有効性が確立されてきたのです。更にサリドマイドには免疫抑制剤としての効果も発見されました。体内にはサイトカインの一種であるTNF-αという物質があって、腫瘍組織を壊死させたり、抗細菌、傷の治癒に働きます。しかし時としてTNF-αが増殖すると自己免疫疾患を起こしたり腫瘍の血管新生作用を引き起こします。サリドマイドにはこのTNF-α(腫瘍壊死因子)の合成を選択的に抑制する働きがあるというのです。つまりサリドマイドは免疫抑制作用として自己免疫疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、乾癬症等)の治療に効果がある事が分かったのです。免疫抑制の効果ではステロイドより効果があるとの報告もあります。また血管新生を抑える為腫瘍の血管新生を止めたり、糖尿病性の網膜症や老人性黄斑変性症(いずれも血管新生が異常になる障害)にも有効だといいます。日本でも既に個人輸入という形で医師の裁激で使用されているようで、日本でもサリドマイドの新しい使い方が検討されています。


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