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口腔と免疫疾患

2021.06.11 | Category: 免疫

西原克成氏は口腔外科の専門医ですが、あまりのユニークさとその壮大なスケールゆえに、アウトサイダー的な位置にいます。その西原氏が2002年、NHK出版から「内臓が生みだす心」を出版し、この中で、免疫疾患について従来の免疫学には無い、発生学的な視点から次の様な大胆な仮説を提唱しました。人間の呼吸には口呼吸(腸管呼吸)と細胞呼吸とがあり、この両者の関係の中に免疫疾患の原因があるとしたのです。著書の臨床報告でも、多くの免疫疾患に対して鼻呼吸、咀嚼訓練と口腔の清浄、横隔膜呼吸(腹式呼吸)と腸管を温める事を勧め、それによってアトピー性皮膚炎や難病の自己免疫疾患等も改善したと報告しています。西原理論ではあらゆる病気の根源に細胞呼吸の要であるミトコンドリアの代謝の障害があると考え、従来の免疫学では細分化されている免疫疾患も根本のところでは同根であるとしています。その考えを概略すれば、鼻呼吸では無く口呼吸をすると常在菌の特に好気性菌等が不顕性の感染で身体中に巡ってしまいます。口腔が不潔であればより不顕性感染が加速します。元々ミトコンドリアは発生学的には身体の細胞に住みついた奸気性の原核生物です。ですから、ミトコンドリアの酸素を好気性菌によって横取りされてしまうと細胞内のエネルギー代謝がだめになり、細胞は不活性に陥ってしまうというのです。また、冷たい物の摂取は腸管の細胞の冷えをもたらし、ミトコンドリアが不活性になり腸管免疫に障害が出るとしています。もちろん、口呼吸や冷え以外にも薬物や汚染物質や食品など他にもミトコンドリアを障害する原因はあると指摘しています。いずれにしても、ミトコンドリアの呼吸機能が障害される為身体のあらゆる細胞レベルの成長、発生、新陳代謝(リモデリング)が障害され、結果として免疫機構が壊れてしまうというのです。あまりに大胆な仮説で賛否の分かれるところですが、東洋医学の考えに通じる理論でもあるので紹介しました。


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