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炎症性腸疾患

2021.06.11 | Category: 免疫

炎症性腸疾患である潰瘍性腸疾患とクローン病は原因不明の特定疾患に指定されています。毎年約4000人の患者が新たに登録され、総数は約10万人と、若者を中心に年々増加しています。食事の欧米化に伴い、動物性蛋白と脂肪の摂取量の増加が一因と考えられていますが、原因は不明です。細菌やウイルス、食物中の食品添加物、化学物質、飽和脂肪酸や糖分の摂り過ぎによる代謝異常等から、腸内細菌の異常や腸管の血流不全、遺伝的素因、免疫異常等が関与していると見られています。消化管は消化、吸収をしますが、微生物等の抗原は、消化管の粘膜免疫によって、侵入できない様になっています。それが炎症性腸疾患では、免疫防御機構に異常がみられ消化管の炎症がひき起こされると考えられています。潰瘍性腸疾甦では直腸を中心として潰瘍が始まり、大腸全体に慢性的に炎症が広がります。がん化する事もあります。症状としては血便、粘液便、下痢や腹痛等です。治療は副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤が使われますが、炎症の部分に集まった顆粒球を血液から除去するという治療装置が開発され、健康保険の適用を受け普及し始めました。全国の重症潰瘍性大腸炎の患者約1000人に顆粒球除去療法が行われ、70~80%の患者で症状の改善が見られています。クローン病は口腔から肛門までの消化管のあらゆる部位に潰瘍が見られ、特に小腸や大腸が好発部位です。主な症状として腹痛、下痢、発熱、下血、痔等があります。下痢は1日6回以上あり、一ケ月で10kgの体重減少する事もあります。治療は潰瘍性大腸炎と似ていますが、クローン病では食事制限が必要で成分栄養分(脂肪が無くて吸収されやすい物)を用いた栄養療法を行う事になります。最近では胃潰瘍等消化管の内壁に生じる炎症が、骨髄移植する事で骨髄に含まれる幹細胞が消化器で分化、再生して内壁が修復される事を米医学誌「ネイチャー・メディシン」電子版に東京医科歯科大と慶応大の研究チームが発表しました。これは炎症性腸疾患等消化器の難病治療に役立つのではと考えられています。


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