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諸外国とのモルヒネ使用量の差

2021.04.25 | Category: がん

癌の痛みは病状が進行するほど発生頻度が高くなり、しかも次第に増強するという特徴があります。

日本で今年癌で亡くなる約38万人のうち、少なくとも12万人は完全には除痛されないままの死を迎えているといわれています。

痛みを取り除くことは、末期悪者だけで無く全ての患者のQOLの改善をもたらす医療で、手術や放射稼治療といった癌を治す為の医療と対立するものではありません。

強い痛みの鎮痛薬としての医療用モルヒネの大部分が、癌の痛みの治療に使われていて、各国での年間使用量が癌の痛みの治療の進展度を示す指標になっています。

日本では、1999年医療用麻薬モルヒネ換算201㎏から比べると2010年5.736㎏と大きく年々数字を伸ばしているのに対して2011年には5.179gと逆に減っている年もあります。

国際比較でみると100万人1日あたりの消費量換算(モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン合計)2007年~2009年のデータでオーストラリア1.502.2gアメリカ1.725.0gに対して日本96.8gといった国々に比べて、まだ少ない使用量です。

医療者の対応が遅れている事の原因に、一定の量以上を使ってはいけないとか、使う対象は予後の短い患者に限るといった過去の医学教育があり、日本の麻薬取締法が厳しかった事もあります。

また患者側も、癌の痛みには有効な治療法が無いという誤解、医療目的の麻薬についての誤解、痛みは我慢するべきといった考えなどがあります。

しかし癌の痛みの治療を要求する事は患者としての権利であり、充分な痛み治療を行う事は医師の義務です。

痛みによる睡眠不足や食欲不振、病気への怖れや不安が取り除かれるならば、末期の癌患者でも家庭で安らかに過ごす事は充分可能なのです。


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