神奈川の鶴巻温泉治療院は医師も推薦する気功治療院です。

症状別ページ

免疫疾患

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アレルギーには型がある

「アレルギー」の語は「変化した反応能力」を意味し。自己防衛能力がオーバーな反応を起こして自分に不利益な症状を起こす事をいいます。アレルギーは抗原と接触してから症状が現われるまでの発症の機構によってI~Ⅳの4つの型に分けられます。I型アレルギーは一般にいわれるアレルギーの事で、免疫グロブリンのlgE抗体が大量に作られて起こり、数分から数十分で症状が現われる「即時型」アレルギーです。急激なショック症状を起こすアナフィラキシーもこの型で、花粉によるアレルギー性鼻炎や結膜炎、急性じん麻疹、卵や牛乳等の食物アレルギー、ダニやホコリによる気管支喘息(即時型)、薬物アレルギーもこのI型に分類されます。Ⅱ型は「細胞障害型」ともいい、自己細胞に反応するlgG抗体やlgM抗体が移入・生成した時に起こり、代表的な物に血液型不適合の輸血反応やRh血液型不適合で新生児に起こる胎児赤芽球症、自己免疫性溶血性貧血等があります。Ⅲ型は「免疫複合体型」アレルギーで、抗原と抗体が結合した免疫複合体が血管・リンパの循環系に塊となって残り、それを取り除こうとする好中球や補体による急性炎症反応によって起こります。動物血清による血清病や溶血性連鎖球T菌感染による糸球体腎炎、様々な膠原病や肝炎・マラリア・梅毒・らい・結核等の感染症があり、過敏な人にとっては全身性の重篤な症状になることがあります。Ⅳ型は「遅延型」アレルギーともいわれ、前3つの抗体反応型と異なってTリンパ球細胞が関与するので反応時間が1~2日かかります。この型には多くの細菌・ウイルス・カビに対する反応(例えばツベルクリン反応)や金属・化粧品等に対する接触性皮膚炎、気管支喘息(遅発型)、移植片に対する拒否反応や自己反応性T細胞による自己免疫疾患があります。
 

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リウマチ

2002年4月日本リウマチ学会総会において従来の診断名「慢性関節リウマチ」は『関節リウマチ』へと病名が変更されました。というのも、関節リュウマチの病態解明が進むに連れて早期発見、早期治療である事が解ってきたからです。ですから進行してから治療するというイメージの『慢性関節リュウマチ』はふさわしくないとされたのです。また、関節リウマチがすべて慢性という経過をたどるわけではない点も挙げられます。この関節リウマチは膠原病と並んで自己免疫疾患の代表的な物で、病状の記述は古く黄帝内経常問にも「痺症」という病名で載っています。正常な人の身体は、自己の成分に対して免疫応答を起こさない様になっていますが、それが過剰応答してしまうのが自己免疫疾患です。身体を構成する特定の部分を攻撃してしまいますが、関節リウマチの場合は関節の滑膜を攻撃するのです。その為に滑膜が炎症して腫脹や増殖が起こります。そして次第に軟骨や骨にびらんができて行き、更には関節の破壊や変形へと進んで行きます。初発症状では、朝の手足のこわばり感やぎこちなさが特徴です。この関節リウマチは手指や足指の小さい関節にも好発しますが、肩・肘・手首・股関節・膝・足首等の大きな関節もやられます。最初はバラバラに症状が出ますが、段々対称性に症状が固定し、関節の腫脹は紡錘型になります。手指の場合、第二関節や指の付根の関節が腫れる事が多く、スワンネック変形、ボタン穴変形、尺側偏位がみられます。特に初期症状のときには、非対称性におこる事もあり、関節リウマチの好発年齢の30才から40才台の肩の痛みは四十肩と重なり、間違いやすいので注意が必要です。また関節リウマチの発症率は1000人に3~4人で、女性が男性の3~4倍多い事も特徴です。原因の全体像はまだ分かっていませんが、遺伝的素因やTリンパ球、生理活性物質のサイトカイン等と考えられており、初期治療が大切な自己免疫疾患なのです。
 

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糸球体腎炎と免疫複合体

Ⅲ型のアレルギーで起こる代表的な疾患が全身性エリトマトー・デスと糸球体腎炎です。このⅢ型アレルギーは傷害の標的となる組織とはまったく無関係の可溶性の抗原がlgG抗体と結合して複合体を作り、その免疫複合体が組織に沈着して起こるアレルギー反応なのです。このアレルギー反応で発症する糸球体腎炎のきっかけとしては溶血性連鎖球菌(溶連菌)の感染が指摘されています。溶遠藤は口腔の粘膜に巣食う常在菌ですが、疲れやストレス等で免疫力が衰えると発熱や喉の痛み等風邪様症状を呈します。通常は糸球体腎炎が起きるl~2週間前にこの様な風邪様症状が先行します。この溶連菌は名の通り球状の菌体が数珠繋ぎになっています。溶連菌に最も関連するのがA群β溶連菌です。この菌体成分が抗原となって血液中を流れる間にそれに対抗すlgG抗体が産生されて行きます。その抗原と抗体が次第に結合して免疫複合体が生れ、それが濾過装置である腎臓の糸球体に次第に沈着していくのです。この糸球体は血液を1分間におよそ1リットル濾過していますので、糸球体には免疫複合体が増え続けてしまいます。すると免疫機構の掃除屋である補体がこれを異物と勘違いして攻撃する為に腎炎が生じます。この免疫機構の補体の働きとしては、・炎症を活発にさせる ・異物にとりついて免疫の食細胞を刺激する ・異物の細胞を溶解させる等があります。この糸球体腎炎では全身倦怠、血尿、蛋白尿、尿量減少、上瞼の浮腫等が起こります。小児では予後が良好ですが、成人の治癒率は20~30%と低く、慢性化するといわれています。ただ溶連菌感染の症状が出た誰もが同じ様に糸球体腎炎になるわけでは無いので、この免疫複合体だけが原因とは言い難く、全容ははっきり解明されていなのが現状です。
 

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自己免疫疾患が女性に多いわけ

膠原病を始めとする自己免疫疾患は、男女を比べてみると多くは女性に多いのが特徴です。女性の自己免疫疾患の発症が思春期以降に多かったり、月経や妊娠等、ホルモンの量が大きく変化する時期に対応して症状が変化する事から性ホルモンが大きく影響している事は確かな様です。しかしそれだけでは無く、そもそもが男女の性染色体の違いによるからだという論もあります。男性はXとYの染色体を持ちますが、その場合Yは父から、Xは母からもらいます。一方女性はX染色体を父と母から1本ずつもらいますが、生きて行く上では1本で用が済みますから(そうでなければXY染色体は困ります)、どちらか一方のX染色体は不活化されます。どちらが不活化されるかは細胞によって異なります。つまり女性の細胞には父Xを持った細胞と母Xを持った細胞(が作った蛋白質)が混在する事になるのです。当然免疫細胞でもどちらかが不治化されています。例えば母X細胞と母X免疫細胞、父X細胞と父X免疫細胞が接した時には“自己"ですから免疫反応は起こりません。しかし母X細胞と父X免疫細胞、父X細胞と母X免疫細胞が遭遇すると“非自己”として攻撃し始める事があるというわけです。女性が2本のX染色体を持っているという事は、本来は生物としての多様性があるという事で、生物としては生き残りに優れていると言えるのですが、時としてそれが両刃の剣にもなるという事なのかもしれません。
 

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オーバーラップ症候群

オーバーラップ症候群とは、自己免疫疾患、特に膠原病を2つ以上併発する事をいいます。膠原病の中でも全身性エリテマトーデスと強皮症との併発が最も頻度が高く出現します。また関節リウマチとシェーグレン症候群が併発する事もあり、関節リウマチの患者さんでは4人に1人はシェーグレン症候群を併発していると見られます。シェーグレン症候群とは涙腺や唾液腺、バルトリン腺等の分泌腺が標的となる自己免疫疾患で、目、口腔、鼻腔など、潤っていなければならない部分の分泌液が滅少してしまう為、QOLがひどく損なわれます。また膠原病に、甲状腺炎や原発性胆汁性肝硬変、間質性腎炎等を併発することもあります。疾患の活動期には消化管や腎臓、心臓、中枢神経などの臓器障害が起こり、肺高血圧症が起こりやすく、それが死因となる事もあります。自己免疫疾患では臓器によって多様に症状が出ますが、同時にいくつもの自己免疫が生じるオーバーラップ症候群の事は念頭に置いておかなければなりません。
 

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皮膚と免疫

皮膚は単に身体を被うだけで無く、寄生虫や病原体、環境中の毒性物質などの侵入を最前線で防御する役目を果たしています。マクロファージと同じ働きをする抗原提示細胞であるラングルハンス細胞が皮膚に侵入した蛋白質をキャッチすると、T細胞に知らせ、抗体を作ります。ウルシかぶれ、金属や薬物による接触性皮膚炎、ダニ等のアトピー性皮膚炎等は、原因蛋白質が侵入する事で起こるアレルギー型の免疫疾患といえます。治療はパッチテストをして抗原を見つける事が重要になります。また自己免疫疾患に関係する皮膚病としては乾癬があります。乾癬は炎症性の病気か遺伝的な病気と考えられていましたが、関節リウマチで乾癖が合併している患者に免疫抑制剤を使用したら、乾癬症状が治った事から、免疫が関係している事が分かりました。乾癖には尋常性乾癖、渦状乾癬、乾癬性紅皮症、乾癬性関節炎、膿庖性乾癬に分けられますが、最も多いのが尋常性乾癬です。免疫反応によって起こる炎症と、皮膚が異常に増殖する角化異常を起こす炎症性角化症を起こします。正常な皮膚細胞の新陳代謝は約28日で、これを皮膚のターンオーバーといいますが、そのスピードが7~10倍の速さで分裂増殖し表皮が厚くなるのです。頭、肘、膝、四肢、腰等に銀白色でカサブタやフケの様な鱗屑(りんせつ)がべったり付着し、赤く隆起します。痒みが大変強く、更に痛みが出る場合もあります。患者さんは2:1で男性が多く10万人と推定されています。ストレスが重なると症状は悪化します。治療としては副腎皮質ホルモンと免疫抑制剤を使う事になります。また皮膚に症状が現れる自己免疫疾患には全身性エリテマトーデスがあります。90%が20~30歳代の女性で、発熱、関節痛等の全身症状の他に、皮膚症状として特徴的な、鼻を中心に出現する蝶形紅斑、耳たぶや手のひらの紅斑、レイノー病、日光過敏症、蕁麻疹等が現れます。また内臓疾患を合併する等、難病に指定されています。
 

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アナフィラキシーショック

アレルギー症状の中でもアナフィラキシー反応は要注意です。lgE抗体による即時型アレルギーに属し、抗原の侵入から反応までの時間が2、3分~20分と早く、早急に対処しなければなりません。lgE抗体が結合するのは肥満細胞(マスト細胞)ですが、その名の通りヒスタミンやロイコトリエン等活性物質の類粒を多量に貯め込んで太った様に見える細胞で、消化管や気道等の粘膜や皮下給合繊に存在しています。1度感作されたlgE抗体が肥満細胞にくっ付いている所へ抗原がやって来ると、肥満細胞は中のヒスタミンや顆粒を吐き出します。ヒスタミンの作用で周囲は炎症を起こして、痒み、腫れ、血管拡張等の症状が起きます。ヒスタミンが大量になると血管作動性が高まり、毛細血管の透通性が増し、血液成分が組織へ漏れ出て浮腫や水腫が起こります。肺に起これば平滑筋の持続的な収縮が起こり、気管支が収縮、痙攣して呼吸困難になり、ひどい喘息発作が起こったり不整脈が見られる事もあります。最も怖いのは薬の中でも抗生物質によるアナフィラキシー反応で、ペニシリンによるものだと、血管腔が縮小して血流量が減少し血圧の急激な低下からショック状態に陥ります。アナフィラキシーの抗原は割と身近な所にあり、食品なら柑橘類やナッツ類、エビやカニ、ソバ等が知られています。特にソバは症状が劇的で、ソバ屋の前を通るだけで症状を起こす人もあり、アレルギー学会でもソバアレルギーは特別に扱っています。また蜂によるアナフィラキシーでは、日本でも毎年何人もの人が亡くなっています。アナフィラキシーが疑われる時は、患者の気道を確保しながら、直ちに医師に診せなければなりません。
 

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アポトーシスの失敗

プログラムされた死“アポトーシス”は個体の発生や恒常性の為に重要な働きをしています。おたまじゃくしの尻尾が無くなるのも、人の指がきちんと5本に分かれるのも発生の過程で役目を終えた細胞が“自殺”するからです。最近ではこのアポトーシスの研究が進むに連れて、アポトーシスが免疫系においても重要な働きをしている事が分かってきました。これまで、自己免疫疾患は自己に反応するリンパ球が異常に増える為だと考えられてきたのですが、実は、本来自殺するべき自己反応性のリンパ球が死なずに残ってしまうために起こるという事が分かってきたのです。例えば胸腺ではT細胞の教育が行われて自己に反応するT細胞は排除されるとされていますが、その場合の排除もいらないT細胞にアポトーシスが起こっているのです。哺乳類の細胞の表面にはアポトーシスを起こさせるシグナルを受け取るFasというアンテナがあって、ここが刺激されるとアポトーシスのスイッチが入って自殺していきます。動物実験では免疫細胞のアポトーシスを制御する遺伝子が異常になる為に自己免疫疾患を起こす事が分かっていますが、人ではまだ確認されていません。アポトーシスは起こり過ぎても起こら無さ過ぎても困ります。アポトーシスが起こり過ぎるとエイズやアルツハイマー、パーキンソン病等の神経変性疾患や筋萎縮性側索硬化症を発症しますし、アポトーシスが起こら無くなるとガンや自己免疫疾患、ヘルぺス等のウイルス感染症等が発症してしまう事になります。アポトーシスを制御できる様になれば、難病と言われる多くの疾患が治療可能になると考えられます。
 

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糖尿病と免疫疾患

2型糖尿病は生活習慣病の代表格です。一方1型糖尿病は自己免疫性と特発性の物に分けられますが、80~90%は自己免疫性です。膵臓のインスリンを作るβ細胞の破壊によって起こり、多くの場合急激に悪化し、早期にインスリン注射が必要になります。この自己免疫の異常はT細胞が原因です。で細胞は通常、細菌や異物等と自己を構成している細胞を見分けて、それが敵であると認識するとキラーT細胞に指令を出して攻撃をしかけます。更にその指令をB細胞に送り抗体を作らせて敵(抗原)をやっつけます。このT細胞は胸腺で教育を受けて通常は自己を攻撃しない様になっています。これを自己免疫寛容といいます。この自己を攻撃しない様になっているメカニズムは、細胞表面に主要組織適合抗原(MHC)=HLA(ヒト白血球抗原)という抗原(目印)があるからです。その目印の見分け方を学習した筈のT細胞に異常が起こると自己免疫寛容ができなくなって膵臓のβ細胞に攻撃を仕掛け、最後には破壊してしまうのです。この免疫異常は遺伝子の異常やある種のウイルスがきっかけになって突然発症すると考えられています。 HLA遺伝子の近くに数個の原因遺伝子が存在していると推測されていますが、正確にはどんな遺伝子なのか分かっていません。最近の研究では糖尿病の発症前にもインスリンやβ細胞に対する自己抗体が見つかっており、膵臓のβ細胞に対する免疫異常は糖尿病を発症する以前から始まっている様です。従って2型糖尿病と見られるものにも、1型が混じっている事が考えられます。
 

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ストレスと免疫

ストレスと免疫の関係は明らかで、ストレスの度合いが感染症や心身症の発症、経過に作用します。急性気道感染症のウイルスを点鼻するという乱暴な実験でもストレスの感じ方が強いほど免疫能が低下していて発症率が高かったといいます。またアルツハイマー患者の介護をしている介護者の免疫では、同様な状況でもストレスをより強く感じている人の方がそうで無い介護者よりも傷の治りが遅かったという結果もあります。また阪神大震災での調査でもPTSDがNK細胞の活性を低下させる事が明らかになっています。大震災などに限らず、PTSDは長期的な影響を及ぼす事が多く、特にうつ傾向とアルコール依存の割合を増やします。またPTSDから回復した後も悪夢等の侵入症状が長く残ったり、対人関係の問題を抱えやすくなる傾向にあります。免疫を受け持つ胸腺や骨髄、肺、リンパ節などは自律神経の支配を受けています。自律神経の中枢は視床下部にあって、視床下部は下垂体→副腎の流れでストレスをコントロールしています。視床下部はまた情動の中枢でもあり、この事からも情動が体のストレス反応と大きな関わりを持つ事が分かります。つまり肉体的なストレスだけで無く、不安、抑うつ、怒り、悲しみ等の情動的、精神的なストレスも神経や内分泌を介して免疫系に影響を及ぼし、極短時間で細胞性免疫能も変化させるのです。
 

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脳と体温と免疫力

事故による怪我や病気で脳神経組織が著しく障害を受けている患者の身体を、33度前後に冷やす事で脳の温度を下げると、神経細胞が死んでしまうのを防ぐことができます。この脳低温療法は脳の損傷を最小限に抑えて、治療予後も非常に良かった事から、今では全国の多くの病院で採用されています。ところがこの療法を始めた頃(゛91年以降)は、患者の体温の低下に伴って免疫力が落ちて重症の肺炎等の感染症を起こし、32~64%もの患者が感染症になりました。しかし'96年から脳低温療法の際に成長ホルモンを補充する治療を始めたところ、感染率が9%に激減したのです。成長ホルモンの主な働きは発育を促す事ですが、このホルモンはT細胞やNK細胞、マクロファージ等を活性化させ、胸腺にも働きかけます。脳低温療法で免疫力が落ちる原因のひとつに、脳の温度が下がって脳下垂体の働きが弱まり、成長ホルモンの分泌量が減る事にあったのです。この様に体温と免疫力は密接な関係にあり、風邪の時に熱が出るのは視床下部の体温調節中枢が体温を上げる指令を出しているからで、ウイルス等の病原体に出会ったリンパ球が生理活性物質を使って、体温周節中枢の神経細胞に作用するのです。そして体温が42度を越えそうになると、今度は免疫細胞は発熱を抑える物質を出します。感染症にかかった時に発熱だけでなく、食欲不振や眠気といった症状が現われるのは、生体の活動量を減らし病原体との戦いに専念しようと、免疫系が脳に働きかけているからだとみる専門家がいます。
 

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炎症性腸疾患

炎症性腸疾患である潰瘍性腸疾患とクローン病は原因不明の特定疾患に指定されています。毎年約4000人の患者が新たに登録され、総数は約10万人と、若者を中心に年々増加しています。食事の欧米化に伴い、動物性蛋白と脂肪の摂取量の増加が一因と考えられていますが、原因は不明です。細菌やウイルス、食物中の食品添加物、化学物質、飽和脂肪酸や糖分の摂り過ぎによる代謝異常等から、腸内細菌の異常や腸管の血流不全、遺伝的素因、免疫異常等が関与していると見られています。消化管は消化、吸収をしますが、微生物等の抗原は、消化管の粘膜免疫によって、侵入できない様になっています。それが炎症性腸疾患では、免疫防御機構に異常がみられ消化管の炎症がひき起こされると考えられています。潰瘍性腸疾甦では直腸を中心として潰瘍が始まり、大腸全体に慢性的に炎症が広がります。がん化する事もあります。症状としては血便、粘液便、下痢や腹痛等です。治療は副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤が使われますが、炎症の部分に集まった顆粒球を血液から除去するという治療装置が開発され、健康保険の適用を受け普及し始めました。全国の重症潰瘍性大腸炎の患者約1000人に顆粒球除去療法が行われ、70~80%の患者で症状の改善が見られています。クローン病は口腔から肛門までの消化管のあらゆる部位に潰瘍が見られ、特に小腸や大腸が好発部位です。主な症状として腹痛、下痢、発熱、下血、痔等があります。下痢は1日6回以上あり、一ケ月で10kgの体重減少する事もあります。治療は潰瘍性大腸炎と似ていますが、クローン病では食事制限が必要で成分栄養分(脂肪が無くて吸収されやすい物)を用いた栄養療法を行う事になります。最近では胃潰瘍等消化管の内壁に生じる炎症が、骨髄移植する事で骨髄に含まれる幹細胞が消化器で分化、再生して内壁が修復される事を米医学誌「ネイチャー・メディシン」電子版に東京医科歯科大と慶応大の研究チームが発表しました。これは炎症性腸疾患等消化器の難病治療に役立つのではと考えられています。
 

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悪液質と免疫抑制

ガンを放って置けば死にますが、ではガンによって何故死ぬのかは本当はよく分かっていません。ガンが大きくなると体の栄養を独占する様になぅて死ぬという様にも考えられていますが、そう単純でもない様です。動物実験ですが、Tリンバ球を持たないマウスにヒトの悪性ガンを移植すると、ガンはどんどん大きくなりマウス本体ほどの大きさになってもマウス自体は生きていたというのです。つまり、ガンその物では生命を落とす事は無いわけで、死なせる原因はガンによって起こる悪液質なのです。性質の違うガンでも最終的には悪液質の症状(全身の衰弱、るい痩、浮腫、貧血等)をもたらします。この悪液質の原因はカケクチンと呼ばれていましたが、その本体はTNF-α(腫瘍壊死因子)だったのです。TNF-αは本来ガンに働いてガンをアポトーシスに導く働きをする物ですが、ガンの進行に伴ってTNF-αが全身に作用し、その為にガンで無い部分の全身にアポトーシスの作用が及んで悪液質の症状をもたらしていると考えられるのです。TNF-αは脂質、糖、蛋白質の代謝に対して異化作用を進め、また腫瘍の血管の新生も促進します。上記のマウスにはこのTNF-αが欠けていた為に悪液質になる事なくガンと共存していたのです。転移とTNF-αのコントロールをすればガンとの共存も可能となる可能性が高くなります。ちなみにサリドマイドはこのTNF-αを抑える作用でも再評価されてきています。
 

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口腔と免疫疾患

西原克成氏は口腔外科の専門医ですが、あまりのユニークさとその壮大なスケールゆえに、アウトサイダー的な位置にいます。その西原氏が2002年、NHK出版から「内臓が生みだす心」を出版し、この中で、免疫疾患について従来の免疫学には無い、発生学的な視点から次の様な大胆な仮説を提唱しました。人間の呼吸には口呼吸(腸管呼吸)と細胞呼吸とがあり、この両者の関係の中に免疫疾患の原因があるとしたのです。著書の臨床報告でも、多くの免疫疾患に対して鼻呼吸、咀嚼訓練と口腔の清浄、横隔膜呼吸(腹式呼吸)と腸管を温める事を勧め、それによってアトピー性皮膚炎や難病の自己免疫疾患等も改善したと報告しています。西原理論ではあらゆる病気の根源に細胞呼吸の要であるミトコンドリアの代謝の障害があると考え、従来の免疫学では細分化されている免疫疾患も根本のところでは同根であるとしています。その考えを概略すれば、鼻呼吸では無く口呼吸をすると常在菌の特に好気性菌等が不顕性の感染で身体中に巡ってしまいます。口腔が不潔であればより不顕性感染が加速します。元々ミトコンドリアは発生学的には身体の細胞に住みついた奸気性の原核生物です。ですから、ミトコンドリアの酸素を好気性菌によって横取りされてしまうと細胞内のエネルギー代謝がだめになり、細胞は不活性に陥ってしまうというのです。また、冷たい物の摂取は腸管の細胞の冷えをもたらし、ミトコンドリアが不活性になり腸管免疫に障害が出るとしています。もちろん、口呼吸や冷え以外にも薬物や汚染物質や食品など他にもミトコンドリアを障害する原因はあると指摘しています。いずれにしても、ミトコンドリアの呼吸機能が障害される為身体のあらゆる細胞レベルの成長、発生、新陳代謝(リモデリング)が障害され、結果として免疫機構が壊れてしまうというのです。あまりに大胆な仮説で賛否の分かれるところですが、東洋医学の考えに通じる理論でもあるので紹介しました。
 

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習慣性流産

妊娠24週未満に胎児が死んだり母体外に出てしまって妊娠が途絶することを流産と言いますが、自然流産が3回以上連続する場合を習慣性流産といいます。その習慣性流産の原因は胎児では無く母体にある事が多く、検査によって免疫の異常、子宮奇形、子宮頚管無力症、膠原病、ホルモン異常等が分かる事があります。しかし60%は原因不明といわれています。母体にとって、赤ちゃんの半分は自分の細胞ですが、残り半分は「異物」である夫の細胞です。通常、妊娠中は胎児を「異物」として拒絶しないように免疫機能が働きますが、これを生殖免疫といいます。この免疫バランスが崩れると、母体が胎児を拒絶してしまうのです。現在考えられている説では夫婦の免疫型HLAの違いが大きいほど流産し難いといわれています。これは胎児が着床した事がきっかけで母親の体の中に胎児を排除しようとする免疫反応を抑える遮断抗体ができるのです。異物度が高いほどこの抗体が多くでるのです。HLA型の共通項が多く異物度が少ないほど遮断抗体が少ないので流産するというのです。治療としては異物度が高める為の免疫療法が行われ、夫の血液中のリンパ球を母体に接種する事で、胎児を排除しようとする免疫反応を抑制するのです。また最近では自己抗体である抗リン脂質抗体があると流産率が高い事が分かってきました。細胞や血小板等の膜成分はリン脂質が主成分で、その膜を通して色々な物質が交通するのですが、この抗体が陽性であると、胎盤内の微小血管に血栓が生じて血管が詰まってしまい、胎盤の機能が低下して、流産、子宮内胎児死亡が発生すると考えられています。従来、流産や死産を繰り返すと精神的な過度のストレスから異物を排除する働きのあるNK細胞が活性化され、免疫異常が起こるともいわれています。習慣性流産は、多くの場合お母さんが仕事を続けていたからとか、重い物を持ったからといった不節制な生活が原因ではないのです。
 

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悪魔の薬から福音の薬へ

サリドマイドといえば1950年代に歴史上最大の薬害をもたらした「悪魔の薬」です。安全な睡眠薬として処方箋も要らずに広く使われ、妊娠中の服用によって胎児の四肢(特に上肢)に奇形を起こし、いわゆるサリドマイド児を5000人以上、日本でも309人の被害者を出しています。そのサリドマイドが最近になって見直され、「福音の薬」として脚光を浴びています。最初はイスラエルの医師がハンセン病の難治性の皮膚炎に劇的な効果があると報告したもので、その後全身性エリテマトーデス、ベーチェット病、エイズ等、難治性の粘膜皮膚疾患にも特効薬と言えるほどの有効性が確立されてきたのです。更にサリドマイドには免疫抑制剤としての効果も発見されました。体内にはサイトカインの一種であるTNF-αという物質があって、腫瘍組織を壊死させたり、抗細菌、傷の治癒に働きます。しかし時としてTNF-αが増殖すると自己免疫疾患を起こしたり腫瘍の血管新生作用を引き起こします。サリドマイドにはこのTNF-α(腫瘍壊死因子)の合成を選択的に抑制する働きがあるというのです。つまりサリドマイドは免疫抑制作用として自己免疫疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、乾癬症等)の治療に効果がある事が分かったのです。免疫抑制の効果ではステロイドより効果があるとの報告もあります。また血管新生を抑える為腫瘍の血管新生を止めたり、糖尿病性の網膜症や老人性黄斑変性症(いずれも血管新生が異常になる障害)にも有効だといいます。日本でも既に個人輸入という形で医師の裁激で使用されているようで、日本でもサリドマイドの新しい使い方が検討されています。

 

 

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